本物の屑……!
「きゃああああ!!」
北の方から、叫び声が!
この声は、賢者ニーナか!
ここまで聞こえる声!
何があったか?
俺は、モグに指揮を託し、マヤと共に駆けだす。
本当、世話がやける……。
空で、混然と輝く女神……!
あれが、魔王軍四天王、風のイシュノヴァか……。
横たわる、賢者の姿……。
狂気に、憑りつかれた様に笑う勇者……。
何があった?
敵である、イシュノヴァが、眉を顰める。
「貴方……。勇者なのよね……?自分を守る為に、女の子を盾にするなんて、魔族にでもなったらぁ?」
何を言っているんだ?
ガイアの奴、女を盾にした?
仲間を……。
ニーナを盾にしたと言うのか!?
ガイアは、狂った様に笑い、
「言ってくれるじゃねえか!神剣を持った俺に、敵うと思っているのか?女を盾にしただぁ?魔力切れの魔法使いなんて、それ位しか、役に立たねえだろうが!!」
本物の屑だ……!
ガイアの周りから、人が離れてゆく……。
ただ一人、俺だけは……!
ガキッ!!
ガイアの顔面を殴り飛ばす!!
「下種が……!」
ガイアは、憤怒の顔で、飛び上がり、俺に斬りかかるが、
「雑魚が……」
その鳩尾に、拳を叩きこむ!
最早、ガイアは動けない……。
俺は、イシュノヴァを睨む。
イシュノヴァは、妖艶な笑みを浮かべ、
「あら?良い男の子ねぇ。勇者は糞だし、人間達に、未来は無いわよぉ。私の前で、跪くなら、貴方だけは、許してあげる」
「ご冗談を……。一手、試おうてもらいましょうか?」
俺は、そう言い、ゴッテスの首を掲げる。
イシュノヴァの顔は、凶悪な笑みに変わり、
「あらあら♪そんな鈍らで、良くやるわねぇ。豚さんを、さばいて、虚勢を張っちゃって。可愛いんだから♪」
イシュノヴァの手から、風の刃が、放たれる!
俺の剣は折れ、
「そんな鈍らじゃ、どうにもならないわねぇ。それでも、今の一撃を躱すなんて、凄いじゃない♪」
「そりゃどうも……」
「まだ、私と闘うつもりなの?貴方を守るモノなんて、もう、何も無いわよ?」
「く、ははは!」
俺は、大声で笑う。
狂った様に笑い、
「お前こそ、何を勘違いしている?俺は、一通りの武器は使えるが、最も得意なのは、これだ!」
そう言い、拳を握る!
久々に、少し遊べそうだ!
イシュノヴァも、凶悪な笑みを浮かべ、
「面白いじゃないのさ!魔族と、ガチでやろうなんてさ!!」
無数の風の刃が、俺を襲う!
俺は、全てを跳ねのけ、イシュノヴァの眼前に!
ガッ!!
イシュノヴァの腹部に、拳を叩きこむ!
イシュノヴァは、血反吐を吐き、俺を睨む。
「あ、あんた!?」
「それでは、ダンス、楽しかったですよ♪」
俺の手刀で、イシュノヴァの首が、宙に飛ぶ!
四天王で、この程度か……。
落下する首をキャッチし、先陣に立っていた、フィリス三世の前で、片膝をつく。
「風のイシュノヴァは、打倒しました!これより、残党の殲滅を、お命じ下さい!!」
「うむ!流石よのう!ログナールよ!兵を集めて、残りの魔物を、殲滅せよ!!」
「はっ!!」
さてと……。
残党狩りは、騎士達に任せて、俺も、ゆっくりするか……。




