最高司教……?
ギーラ教会は、予想以上に、焦っている。
手に入れた勇者候補生は、我が儘で、余りにも、使い物に成らない。
その上、今回の一件で、エルバートとの関係に、亀裂が生じた。
焦りもするだろう。
一国家を非難し、混乱を招いた。
その結果、ギーラ教会に与する者は、徹底的に、エルバートから、追放されたのだ。
慌て、ギーラ教会、最高指導者、ジョセフ・ロロロア司教は、フィリス三世に、謁見を求めて来た。
快く、承諾する、フィリス三世……。
それは良いのだが、何故かその場に、俺まで呼ばれた……?
何を、考えているのだ?
謁見の間……。
「おお!ジョセフ司教!しっかり、役目を果たしていますかな?」
「え、ええ……」
「我が国が、至らぬばかりに、迷惑をかける!ジョセフ司教のお力で、若人達を、導いて下され」
「は、はい、勿論です!」
「して、今日は、何の用かな?」
フィリス三世の目は、笑っていない。
ジョセフ司教も、その事には、気付いている様だ。
目を泳がせ、
「大変、ご無礼な事は、重々承知ですが……。神剣の祠は、エルバートに在ります。まさかと思いますが、勇者に、剣を授けないと言う事は……?」
「ジョセフ司教……。お主は、儂等を、悪者にしたいようじゃのう……」
「い、いえ!その様な!!」
ジョセフ司教の額に、汗がにじむ。
フィリス三世は、笑顔を崩さず、
「勿論、そちらの聖女が、予言した通り、勇者を見出してくれれば、その者を、喜んで、祠に入れ、神剣を、授けましょう。何を心配しておられるのか、分かりませんが……。勇者が、魔王を亡ぼしてくれねば、我等とて、滅びてしまうのです。そう、〝聖女〟が、予言しているのだろう?」
「は、はい!勿論です!」
「よろしく、頼みますぞ?世界の命運は、ジョセフ殿に、かかっているのですから」
「え、ええ……」
「では、話は以上であるな……。ジョセフ司教を、丁重にお送りしろ」
「はっ!」
二人の騎士が、ジョセフ司教を、優しく立たせる。
しかし、ジョセフ司教は慌て、
「お、お待ちください!互いに、色々と、行き違いがあり、フィリス国王陛下には、不快な思いをさせました!フィナ様は、奇跡が起こり、目が見える様に成ったと聞きました!しかし、お体は弱いまま!ネガレカ様の加護を得る為、よろしかったら、我が教会のシスターを、侍女に!」
「ふざけておるのか……?」
「は、はい?」
フィリス三世の顔が、般若の形相に変わる。
馬鹿な奴……。
フィリス三世は、ジョセフ司教を見下し、
「我が娘の言葉を、盗み聞き、我が言葉の様に喋るオウムを、王宮に招けと言うのか?」
「は、はい?」
「まあ良い……。白を切るなら、勝手にしろ……。悪いが、ギーラ教会の者を、フィナの近くに、近づける気は無い!お心遣いのみ感謝しよう。そう言っておけば、満足か?」
ジョセフ司教の顔は、青から白に変わる。
結局、ジョセフ司教は、引きずられる様に、謁見の間から、退出させられた……。
何故、俺が、こんな茶番を、見なくちゃ為らん?
ハッキリ言うが、あのジョセフと言う男、あまり良い匂いは、しなかったな……。
あんなのが、最高司教だなんて、ネガレカも、苦労しているなぁ……。




