冒険家業に、集中したい……。
ふぅ……。
平和なモノだ……。
俺の、エネッサを拠点とする、冒険者の活動は、国王の命により、大々的に、公表された。
それから数日……。
グレイアックスや、白銀の牙の荷物持ちとして、下働きであるが、冒険稼業を、謳歌している。
国が、クルセット教会の、援助をしっかりしてくれるお陰で、金にも、余裕が出来た。
孤児院の子達を連れて、お菓子を買ったり、洋服を買ってやったり出来、嬉しい限りだ。
平和だなぁ……。
そんな平和も……。
「ジャショウ様!国王陛下がお待ちです!」
「またですかぁ……?三日前に、登城したばかりでしょう?」
「フィナ様も、ジャショウ様に会いたいと!」
「はぁ……」
どこかの、王様を思い出す……。
面倒な話だ……。
王城に行けば、
「おお!ジャショウよ!よく来たのう」
「本日は、どの様な要件でしょうか?」
「う、うむ……。フィナに、薔薇園を見せてやりたかったのじゃが、今年は、不調でのう……」
「畏まりました……。薔薇園の華を、咲かせればいいのですね?」
「そんな事が、出来るのか!?」
俺は、フィリス三世とフィナと共に、薔薇園へと訪れる。
大地に手を当て、
「大地に生命を宿すか……」
アイレカ姉さんの力を借りる。
一斉に、咲き誇る薔薇。
俺は、ふぅっと息を吐き、
「こんなもんで、よろしいでしょうか?」
フィリス三世は、目を見開き。フィナは、口を手で覆い、目を潤ませる。
「なんて、奇麗な……」
「フィナよ!どうじゃ?これが、薔薇と言う花だ!」
本当、親子仲良いなぁ……。
フィリス三世は、年甲斐も無くはしゃぎ、
「ジャショウよ!褒美を取らそう!何が良いか?」
「そう、毎回、褒美と言われても……。何も、思いつきません……」
「相変わらず、無欲な男よのう」
本当、勘弁して欲しい……。
俺は、一礼し、その場と発とうとするが、
「ジャショウ様……。せめて紅茶を一緒に……」
フィナ必殺の、お願いポーズ。
俺は、観念して、首を垂れる。
はぁ……。
冒険稼業に、集中したい……。




