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天翔雲流  作者: NOISE
神々の願い
1350/1794

動き出す世界

 やれやれ……。

 何故か、国王陛下に呼ばれた……。

 しかも、俺個人が……。

 俺は、何か、やらかしちまったか?

 騎士に連れられ、謁見の前に通される。

 国王陛下の横には、十四、五歳の、白銀の髪の、美しい女性が立っていた。

 えっ?

 嫁さんか何か?

 この国王陛下、ロリコン?

 フィリス三世は、柔和な笑みを浮かべ、

「ジャショウよ、そちの活躍は、儂の耳にも届いて居る!頑張っている様じゃのう」

「はっ!国王陛下も、ご壮健の様で何よりです!」

「うむ。楽にいたせ」

「はっ!」

 俺は一礼し、面を上げる。

 フィリス三世は、満足そうに笑い、横に居る女性に目を向ける。

「この者は、我が娘、フィナと言う。仲良くしてくれぬかのう?」

「お、お姫様と、仲良くですか……?」

「ははは!そう、固く成らずとも良い!儂は、お主の事が、気に入っておるのじゃ!時に、聖女の予言は、知っておるか?」

「は、はあ……。金色の勇者の事ですか?」

「うむ……。何を隠そう、我が娘が、聖女なんじゃよ」

「では、あの予言は、フィナ様が……?」

「そうであって、そうでは無い!あの予言は、ギーラ教会の聖女が、予言したとされている」

「ギーラ教会……?聖女が、二人、居ると言う事ですか?」

「残念じゃが、あちらの聖女は、我が娘の予言を、盗み聞きした、偽物じゃ」

 何だか、ややこしい事に成って来たな。

 聖女が二人居て、片方が偽物……。

 それを、俺に話して、何をしようと言うのだ?

 フィリス三世は、髭を摩り、

「儂は別に、構わぬと思っておる」

「偽の聖女がですか……?」

「うむ。あちらの聖女は、勇者と共に、魔王を倒すと言っておる。しかし、残念じゃが、我が娘に、その様な危険を、侵させたくはない!愚かな父と、笑ってくれてもかまわぬ。娘は、予言の力を、持って生まれたためか、体が弱くてのう……。その上、目も見えぬ。旅など、出来る筈があるまい」

「成程……。偽物ではあるが、勇者と共に、聖女が魔王と闘うと言えば、人々も、奮起しましょう」

「うむ。その通りだ。お主は、若いが、知恵も回るのう」

「はっ!ありがとうございます……。しかし、何故私に、その様な話を、なされるのですか?余り、人の耳に、触れるべき事では無いと、思うのですが……」

「うむ……。ギーラ教会とは、至高神ネガレカ様を、崇拝する国教の本山でのう。今儂が、娘こそが、聖女であると言えば、大きな混乱を招く。故に、ギーラ教会の暴走を、不問とする事とした。しかし、あの予言には、続きがあるのじゃ……。フィナよ。この者に、教えてやりなさい」

「はい、お父様……。金色の勇者現れ、神剣を手にする。数多の魔物を倒し、魔王と対峙する。しかし、敗れ去った時、漆黒の風が、世界を浄化する……」

 金色の勇者の次は、漆黒の風か……。

 ネガレカ殿も、もっと、分かりやすい神託を、授ければ良いモノを……。

 薄々だけど、嫌な予感がする。

 フィリス三世は、大きく頷き、

「儂は、漆黒の風と聞き、お主の顔が浮かんだよ……」

「私は、ただの荷物持ちですよ……?」

「しかし、かなりの実力を、隠しておる!隠し通す事は、出来ぬよ……。勇者が、魔王を、順当に倒せれば良い!しかし、万が一……」

「倒せぬ時は、今の予言を公表し、俺に戦えと言うのですね?」

「うむ……。故に、エネッサから、離れないで欲しい」

「はぁ……。まあ、国王陛下には、クルセット教会の事で、恩義があります。お役に立てるか分かりませんが、魔王が倒されるまで、その誓いを守りましょう」

「おお!誠か!!」

「国王陛下に、嘘をつく筈か無いでしょう?」

「うむ!よろしく頼むぞ!」

「はっ!」

 漸く、世界が、回り始めたか……。

 さてと……。

 旅をするのは難しいか……。

 まあ、のんびりと、修行をしているかな……?


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