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天翔雲流  作者: NOISE
神々の願い
1347/1794

白銀の牙8

 良いパーティーじゃ無いか……。

 いざ戦いと成れば、臆する事無く、連携を取って、勇敢に闘っている。

 一方的な戦い……。

 キスケが上手く翻弄し、ロズワールとメメカが、致命傷を与えている。

 程なくして、ドラゴンは、その巨体を、大地に沈めた……。

 喜び合う、白銀の牙……。

 ドラゴンは、巨大な宝箱に変わった。

 この現象は、何度見ても、面白いなぁ。

 宝箱に夢中な彼等はおいといて、出口を探すか……。

 まあ既に、イヴのお陰で、隠し扉を、見つけているのだが……。

 キスケが、大喜びで、俺の首に、腕を回す!

「ジャショウ!俺達、大金持ちだぜ♪」

「もう、宝箱の中身は、確認したんですか?」

「おうよ!あんなもん、キスケ様にかかれば、ちょちょいのちょいよ♪」

 大喜びするキスケに変わり、ロズワールが、落ち込んだ表情で、

「ははは……。こんな報酬を、手に入れたと言うのに、出口が無いなんてな……」

「あっ……」

 キスケは、ロズワールに言われ、辺りを見渡し、呆然とする。

「畜生……!」

 全員が、その場にへたり込む。

「ははは……。最後に、ドラゴンスレイヤーに成れたんだから、名誉の殉職さ」

「あのぉ……」

「ああ、いい夢見れたなぁ……」

「い、いや」

「ドラゴンに殺された者達の思いも、これで、報われるでしょう」

 何、悟っちまってんだ?こいつ等……。

 俺は、声を張り上げ、

「あの!」

 一同が、俺の方を向く。

 俺は、コホンと咳ばらいをし、

「出口なら、在りますよ?」

「「「へ?」」」

 何を驚いてんだ?こいつ等……。

 碌に、調べもしないで……。

 俺は、キスケの手を引っ張り、壁の前へと連れて行く。

「床を良く見て下さい!かなり古いですが、弧を描いた、ひっかき跡があるでしょう?」

「えっ!?」

「これ、扉が開いた跡の様に見えませんか?」

「「「ええっ!?」」」

 一同が、走り寄って来る!

 キスケは、入念に壁を調べ、

「コイツは、隠し扉だ!!」

 最後まで、世話のかかる子達だ……。

 皆、俺の頭を、クシャクシャに撫でまわす。

 俺は苦笑し、

「早く、宝物を積めて、帰りましょう」

 やれやれ……。

 これで、白銀の牙のスランプも、脱してくれれば、良いんだけどなぁ……。


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