白銀の牙8
良いパーティーじゃ無いか……。
いざ戦いと成れば、臆する事無く、連携を取って、勇敢に闘っている。
一方的な戦い……。
キスケが上手く翻弄し、ロズワールとメメカが、致命傷を与えている。
程なくして、ドラゴンは、その巨体を、大地に沈めた……。
喜び合う、白銀の牙……。
ドラゴンは、巨大な宝箱に変わった。
この現象は、何度見ても、面白いなぁ。
宝箱に夢中な彼等はおいといて、出口を探すか……。
まあ既に、イヴのお陰で、隠し扉を、見つけているのだが……。
キスケが、大喜びで、俺の首に、腕を回す!
「ジャショウ!俺達、大金持ちだぜ♪」
「もう、宝箱の中身は、確認したんですか?」
「おうよ!あんなもん、キスケ様にかかれば、ちょちょいのちょいよ♪」
大喜びするキスケに変わり、ロズワールが、落ち込んだ表情で、
「ははは……。こんな報酬を、手に入れたと言うのに、出口が無いなんてな……」
「あっ……」
キスケは、ロズワールに言われ、辺りを見渡し、呆然とする。
「畜生……!」
全員が、その場にへたり込む。
「ははは……。最後に、ドラゴンスレイヤーに成れたんだから、名誉の殉職さ」
「あのぉ……」
「ああ、いい夢見れたなぁ……」
「い、いや」
「ドラゴンに殺された者達の思いも、これで、報われるでしょう」
何、悟っちまってんだ?こいつ等……。
俺は、声を張り上げ、
「あの!」
一同が、俺の方を向く。
俺は、コホンと咳ばらいをし、
「出口なら、在りますよ?」
「「「へ?」」」
何を驚いてんだ?こいつ等……。
碌に、調べもしないで……。
俺は、キスケの手を引っ張り、壁の前へと連れて行く。
「床を良く見て下さい!かなり古いですが、弧を描いた、ひっかき跡があるでしょう?」
「えっ!?」
「これ、扉が開いた跡の様に見えませんか?」
「「「ええっ!?」」」
一同が、走り寄って来る!
キスケは、入念に壁を調べ、
「コイツは、隠し扉だ!!」
最後まで、世話のかかる子達だ……。
皆、俺の頭を、クシャクシャに撫でまわす。
俺は苦笑し、
「早く、宝物を積めて、帰りましょう」
やれやれ……。
これで、白銀の牙のスランプも、脱してくれれば、良いんだけどなぁ……。




