白銀の牙7
ワープ装置に乗る俺達……。
覚悟は決めた。
一瞬、無重力を感じ、何処かに着地する。
最悪のパターンでは無かったな。
テレポート先で、マグマに落ちたり、串刺しにされなかったのだから。
俺は、声を上げて、喜ぼうとする、ロズワール達を、黙らせる。
そして、周りに目を向けさせる。
「ひっ……!?」
ヤーラが、小さな声で、悲鳴を上げる。
そこには、多くの死体が、散乱していた。
俺は、死体を確認し、
「何か、デカいモノが居るぞ……」
小声で、全員に、注意を促す。
死体の多くに、大きな爪痕が有ったのだ。
ロズワール達も、それを確認する。
「デカいな……」
俺は落ち着き、周りの気配を探る。
成る程な……。
死体の山々の中に、巨大な生物が……!
「ドラゴンか……」
俺の呟きを聞き、ロズワールが、暴走する。
「ド、ドラゴン!?」
その声は、眠れる獅子を起こすのに、十分すぎる声だった。
山の一角が、大きく動き出す!
「ちっ!落ち着け!ドラゴンと言っても、最弱種の、グリーンドラゴンだ!倒せない敵じゃ無い!!俺が、注意を引く!その間に、ヤーラさんとメメカさんは、皆に、支援魔法を!!」
勘弁してくれよ……。
倒しちまえば、楽なんだがなぁ……。
白銀の牙を思うと、ここで、ドラゴンを倒させ、自信を付けてもらわなくては。
俺は、ロングソードを抜き、ドラゴンの鼻先を斬る!!
咆哮を上げるドラゴン!
真っ赤な瞳で、俺を睨む!
「さあ、良い子だ!一緒に、ダンスをしよう!」
俺は、ドラゴンのブレスを躱し、その巨大な背に乗る。
ドラゴンの翼の付け根を斬り、お膳立ては、こんな物で良いか?
全員、万全の体制に成ったな。
俺は、宙を舞い、ドラゴンの右目を斬りつける!
そのまま着地し、落ち着いた表情で、
「ドラゴンの右目は、もう見えません!キスケさんは、その死角を狙って、攻撃して下さい!」
「任せとけ!」
「ゴットンさんは、後衛の守りを!!」
「おう!!」
「ロズワールさんは、キスケさんの攻撃で、ドラゴンの意識が、死角に集中する所を狙って、攻撃して下さい!」
「あ、ああ!」
「メメカさんは、ドラゴンが、腹を見せた所に、攻撃を!!」
「うん!分かった!」
「ヤーラさんは、何かあった時、直ぐに回復出来る様に、スタンバイしていて下さい!」
「分かりました。神の御加護を!」
さてと……。
俺は後方で、ゆっくりするか……。




