白銀の牙
「頼む!モグ!お前達の、荷物持ちを、貸してくれ!」
「あ?仲間を貸せだと?」
今、モグ達に頭を下げているのは、白狼亭の冒険者パーティー、白銀の牙のリーダー、ロズワール。
何故、俺を借りたがっているんだ?
モグは、眉間にしわを寄せ、
「ジャショウは、物では無い!ふざけた事をぬかすな!!」
「分かっている……。分かっているが、俺達には、後が無いんだ!」
どうも最近、白銀の牙は、不調らしい。
パーティー内では、致命的では無いが、諍いが起こり、険悪なムード。
解散の危機にあるとか……。
必死に、頭を下げる、ロズワール。
そこに、ガイス……。
ギルド長が現れ、
「モグよ……。悪いが、ロズワールの頼みを、聞いてやってくれねえか?今のままじゃ、白銀の牙は、使い物に成らん!ダメもとで、ジャショウに援護を、やらせてみたい!」
「しかし!」
「分かっている!ジャショウに万が一があっては、大きな損失と成る!例のダンジョンの、十階層を目標とし、軽い冒険しか、認める事はせぬ!」
例のダンジョンとは、俺が最初に行ったダンジョンか……。
ロズワールは、何度も何度も、頭を下げる。
モグは、ため息をつき、
「分かった……。しかし、必ず、ジャショウを返せよ?」
「あ、ああ!勿論だ!!」
こうして俺は、白銀の牙に、一時加入する事と成った。
まあ、どうにかなるか……。




