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天翔雲流  作者: NOISE
神々の願い
1336/1794

今は、一歩ずつ……!

「失礼します……。ジャショウ君は、居りますか?」

「ヤッホー♪ジャショウ居る?」

 俺が、子供達と遊んでいると、キズナとノエナが、やって来た。

 トリナは、二人を見ると、深々と頭を下げ、

「もしかして、ジャショウ君を、仲間に入れて下さった方達ですか?家のジャショウが、お世話に成っております」

「あっ!いえいえ!どちらかと言うと、私達の方が、お世話に成っていますから!」

「そうそう♪気は利くし、料理も美味。その上、戦闘まで出来ちゃう!ジャショウは、完璧超人だよねぇ♪」

 キズナ達は、俺を褒め、クスクス笑う。

 ノエナは、大袋を取り出し、

「お菓子を買って来たから、皆で食べてぇ♪その代わり、ジャショウを借りるよぉ」

「へ?」

 子供達は、大喜びで、袋に群がる。

 キズナとノエナは、俺と腕を組み。

「そんな訳だから、お姉ちゃん達と、デートをしましょう♪」

「デ、デート?俺は、お金なんて、持っていませんよ?」

「分かってる、分かってる♪全部、孤児院に、寄付しちゃったのでしょう?あたし達が、奢るからさぁ♪」

「モグさんが、報酬を、満足した額、渡す事が出来ないから、現物支給しようって♪」

「げ、現物支給ですか?」

「ジャショウ君、洋服持って無いでしょう?お姉ちゃん達が、選んであげます♪」

「ジャショウは、もっと、お洒落をしようよぉ♪」

「は、はあ……」

 別に、服なんて、着られれば良いのだが。

 俺は、キズナとノエナに、引きずられる様に、クルセット教会を、後にする。

 有難んだが、どうしたものか……。



「ジャショウ君は、どんな服が良いですか?」

「服ですか?着られれば何でも……」

「駄目駄目!遠慮しない!何色が良いのさぁ?」

「色ですか?余り、派手派手しい色は、好きでは無いので、闇夜に紛れる黒が良いですね」

「黒かぁ。シックな色が、良いのですね?ジャショウ君の髪と一緒で、似合いそうですね♪」

「下着、ズボンを、三着。上着は、二着ぐらいで良いかなぁ?後、外套を買おうか?」

「えっ?そんなに、買って頂かなくても……」

「ジャショウ君は、遠慮しない!」

「は、はい!」

 どうも、女性には弱いなぁ、俺。

 半ば、引きずられる様に、服屋に連れて行かれ、ファッションショーが始まる。

 キズナとノエナは、鼻を押さえ、

「ヤバ!包帯していても、呪いが凄い」

「ジャショウ君は、女泣かせですねぇ」

 ぬ?

 呪い?

 キズナとノエナは、何でも無いと、ニコニコ笑う。

 結局、ブーツまで、買ってもらった。

 本当に、良いのだろうか?

 う~む……。

 中古だが、結構、上等な物を、買ってもらってしまった。

 その後は、キズナ達の買い物に付き合い、打ち上げをするので、白狼亭へと向かった。

 白狼亭に入れば、

「おう!ジャショウ♪待っていたぞ!」

「おうおう!男前に成って!良い服、買ってもらったなぁ」

「あ、あの……。ありがとうございます!」

 今日の白狼亭は、お祭り騒ぎ。

 主人公は、グレイアックスだ。

 飲めや歌えの、どんちゃん騒ぎ。

 厨房は、てんてこ舞いだ。

 俺は、女将さんの処へ行き、

「あ、あの……。厨房の手伝いを、させて頂けないでしょうか?」

「あんたがかい?」

 女将さんは、驚いた表情で、俺の顔色を窺う。

 俺は、頭を下げ、

「あの!野菜の皮むきでも、皿洗いでも良いんです!グレイアックスの皆に、美味しい料理を食べさせたいんです!勉強させて下さい!」

 この世界の料理は、余り知らないからな。

 何とか、料理を学ばなくては。

 俺の、存在意義に関わる!

 女将さんは、満面の笑みに変わり、

「あんた、良い子だねぇ……。きっと、家の旦那も、喜ぶよ!さあ、厨房に入り!」

「ありがとうございます!」

 厨房では、厳ついおっさんが、料理をしていた。

 ここのギルドマスター兼コック。

 ガイスさんだ。

 俺を、横目で見、

「手伝いたいんだってなぁ」

「はい!」

「ふん!分かった……。取り敢えず、食器を洗ってくれ!」

「はい!頑張ります!」

 俺は、手際良く、食器を洗ってゆく。

 元の世界で、散々やって来たから、こう言う事は、大得意だ。

 一通り、食器を洗い終えると、

「そこに有る野菜を、洗って皮を剥け」

「はい!」

 へぇ……。

 世界は変われど、野菜は、変わらないんだなぁ。

 ジャガイモ、人参、玉ねぎ、キャベツ。

 世界が変わっても、人間の見た目も、ほとんど変わらないからなぁ。

 これが、理と言うモノなのだろう。

 俺は、手際良く、野菜を洗い、皮を剥く。

 ガイスは、ぼそっと、

「やるな……」

 褒めてくれたのか?

 直ぐに、そっぽを向いてしまった。

「野菜の皮を剥いたなら、大鍋のスープの、灰汁取りをしてみろ……」

「はい!」

 成る程な……。

 基本料理も、余り、変わらない様だ。

 食材が、似ているのだから、当たり前か。

 俺は、ガイスさんの指示に従い、テキパキと、仕事をこなす。

 夜が更け、それでも祭りは、終わりそうも無いな……。


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