風
「全員無事か!?」
モグが叫ぶ!
畜生……。
ああ言う罠も、この世界には有るのか。
幸い、全員の無事を確認する。
しかし、此処は何処だ?
マガンが、壁を殴り、
「俺とした事が、まんまと、引っかかっちまったぜ!」
「仕方が無いさ。巧妙な、トラップだった。兎に角、脱出するぞ!」
「けど、闇雲に動いたら、危険じゃないかなぁ?」
「それでも、進むしかありません」
この階層が、何処なのかは、分からないが……。
俺は、松明に、火をつける。
「ジャショウよ。急に火をつけて、どうしたと言うのだ?」
モグが、首を傾げる。
階層は深いが、それ程広い、ダンジョンでは無い。
松明の炎が、静かに揺らめく。
「モグさん、風の流れです!下層への道か、上層への道か分かりませんが、この風を辿れば、階段に、行きつく筈です!」
「成程!少なくとも、階段まで進めば、何階層か分かる!」
このダンジョンの特徴……。
ご丁寧に、何階層か、階段の前に、記されているのだ。
急な事で、俺も、焦ってしまったが。まあ、俺の中には、イヴが居る……。
ここは、十八階層……。
イヴが、気を利かせ、俺の頭の中に、既に、道も、インプットしてくれた。
上手く、下層までの階段に、誘導すれば良いと言う訳だ。
モグ達は、気を取り直し、
「へへへ……。次は、失敗しないぜ!」
「ジャショウよ。道案内は、お前に任す!」
「はい!風の流れからして、次の角を左に曲がります!」
上手く、誘導しなくては……。
風と、脳内の地図を基に、モグ達を、誘導する。
程なくして、下層への階段が、前方に現る。
「ラッキーだったな♪ここは、十八階層だった様だ」
「うむ!予定通り、ニ十階層を目指すぞ!」
さてと……。
また、荷物持ちに、戻りますか……。




