新たな仲間
「あの!ジャショウと言います!よろしくお願いします!」
モグに連れられ、グレイアックスのメンバーに、挨拶をする。
久々に緊張したが、温かい拍手で、迎え入れられる。
戦士兼リーダーのモグ。
シーフ兼サブリーダーのマガン。
僧侶のキズナ。
魔法使いのノエナ。
四人パーティーの様だ。
マガンが、ニッコリ笑い、右手を差し出す。
俺は頷き、その手を握る。
次の瞬間……!
「っと!悟られない様に、攻撃したつもりだったんだがなぁ……。よく、俺の一撃に気付いた!合格だ」
殺気は無かったが、マガンの左手には、ナイフが握られていた。
俺がそれを、受け止めたと言う事だ。
キズナが、怒った表情で、マガンの耳を引っ張る。
「いつつつっ!?」
「マガンさん!何やってるんですか?」
「い、いや!冒険者と言うモノの、厳しさを教えてやろうと思って」
「子供に止められてやんの。マガン、だっさ~い」
ノエナが、ぷぷぷと笑う。
中々、癖のあるパーティーの様だ。
今度こそ、皆、席に就く。
モグは、大きく頷き、
「それじゃあ、ジャショウには、荷物持ち兼雑用を、やって貰う!」
「モグさん!こんな子供に、荷物を持たせると言うのですか?可愛そうです!」
俺を心配するキズナに、マガンは、ため息をつき、
「あのなぁ……。まだ、冒険者じゃ無いからこそ、荷物を持たせるんだ……。今の内に、足腰を鍛え、一端の冒険者にしてやるのが、俺達の役目なんだよ!」
「で、でも!」
色々、考えてくれてんだなぁ……。
俺を気に掛けてくれる、キズナさんは有難いが、
「あの!キズナさん!ありがとうございます!けど、マガンさんの言う通り、俺は、冒険者に成る為に、このパーティーに、入れて貰ったんです!頑張りますから、気になさらないで下さい!修行だと思えば、苦じゃ無いです!むしろ、どんと来いです!」
「ジャショウ君……」
一同が、俺を見詰める。
マガンは、膝を叩き、
「かぁ!良く言った!モグ!俺は、コイツの事が、気に入ったぞ!」
「うむ!後は、実戦で、どれ程、役に立つかだな」
「ジャショウ君!何かあったら、お姉ちゃんに言ってね?」
「あたしも居るよぉ♪まあ、気楽に頑張んなよ♪」
「それじゃあ、新しい仲間に、乾杯だ!」
「「「おお!」」」
まあ、何とか、雑用だが、冒険者に成れた。
後は少しずつ、実績を積んで、信頼を得る必要が有るな。
孤児院の子達の為にも、頑張らないとな……。




