呪い!?
門番の姉ちゃんは、アミューと言うらしい。
何かあったら、頼ってくれと言っていた。
後、前髪で、顔を隠せと……。
何故だろうか?
まあ、取り敢えず、アミューの言ってた、白狼亭と言う、冒険者ギルドに、行くとしよう。
しかし……!
「きゃああああ!!」
今度は、何だ?
何か、嫌な予感しかしない……。
街に入って、女の人の叫び声……。
テンプレですなぁ。
俺は、叫び声の方へ、駆け出す!
暗い路地裏……。
男三人が、シスター服の女性に、絡んでいる。
んん……。
テンプレ!
話を聞きますか?
イエス
ノー
……。
はい!
ノーを選びますよ!
俺は、男の一人の脳天に、殺さない程度の蹴りを、お見舞いする!
残りの二人が、驚き、振り返ろうとする!
顔を覚えられると、後々厄介だ。
華麗な連撃で、態勢整わぬ男達が、頭から、壁に激突する!
はい、終了。
呆然とする、シスター。
俺は、その手を掴み、
「逃げるよ!」
「は、はい!」
折角、別れたのに、アミューの処に、駆け戻る。
丁度、アミューも、叫び声を聞き、駆けつけて来たところだ。
「どうした!?ジャショウ!!」
「この姉ちゃんが、襲われてた!」
「それで、犯人は?」
「あっちで、のびてる」
「まさか、お前がやったのか?」
「あ、ああ……。不意打ちだったから、何とか……」
「馬鹿者!!」
アミューが、真剣に怒る。
俺の両肩を掴み、
「お前に、何かあったら、どうするんだ!?」
「す、済まない……。けど、やはり、放っておけないよ……」
「はぁ……」
思ったより、この世界の住人は、良い人なんだなぁ。
シスターは、オロオロとし、
「こ、この子は、私を助けて……」
「分かっております!シスターも、何故、あんな場所に?」
「申し訳ありません……。弱った猫の声がして……」
「はぁ……」
アミューは、深々と、ため息をつく。
再び、俺の方を向き、
「何故、前髪で、顔を隠していないのですか?」
「な、何故?」
さっぱり、意味が解らん?
しかし、シスターが、ぽけぇっと、俺の顔を見、
「ジャショウさんと言いましたか……?貴方の顔は、呪われています」
「の、呪い!?」
どう言う事だ?
俺は、ステータス異常無効だぞ?
何時呪われた?
シスターは、何故か頬を染め、
「神に、この身を捧げた私が、胸のあたりに、苦しみを感じます!失礼ですけど、ジャショウさんは、顔を隠すべきです!」
「んな事言われてもなぁ……」
「丁度、包帯を持っています!それで、隠すべきです!」
「そうだな……。それが良い!」
アミューまで……。
俺の顔は、包帯で、グルグル巻きにされる。
どうして、こうなった?
シスターは、若干落ち着きを取り戻し、
「まあ、さっきよりは、幾分か、大丈夫そうです。助けて頂いたのに、ご無礼の数々、申し訳ありませんでした。私、クルセット教会のシスターを務める、トリナと申します」
「え?ああ、ジャショウだ」
「ジャショウ君ですね?エネッサでは、見かけた事がありませんが……」
「ああ、冒険者に成る為に、この街に来た」
「冒険者……?ご両親は、反対されなかったのですか?」
「ああ?親はいねえ」
「そうなのですか……。辛い事を、聞いてしまいましたね……」
「ははは……。生まれた時から、居なかったから、別に、何とも思って無いよ」
「そうですか……」
トリナは、じっと、俺を見詰める。
何だと言うのだ?
トリナは、頬を染めたまま、
「身寄りが無いのですか……。ジャショウ君、行く当ては有るのですか?」
「ん?アミューに紹介された、白狼亭に、行くつもりだが?」
「冒険者になる意思は固いと?」
「そんな事しか、出来ないからな」
トリナは、俺を見詰め、ため息をつく。
アミューと、顔を見合わせ、
「もし、よろしかったら、クルセット教会は、孤児院も兼任しております。身を寄せたら、如何でしょう?」
「は、はあ……。けど俺は……」
「ジャショウ君!それが良い!そうするべきだ!」
「あ、アミューまで……」
ど、どうしてこうなった?
何故か、アミューとトリナは、意気投合し、俺は、クルセット教会で、厄介になる事と成ってしまった……。
参ったなぁ……。
何とか、冒険者は、やらせてもらえる事と成ったが……。
体が、鈍っちまうよ……。




