人が、歩むべき道
俺の前で、ネガレカが跪く。
涙を流し、
「私は驕り、前神の言葉を無視し、全てを壊してしまいました……。全て、全て、私がいけなかったのに……。前神は、生贄に成ると、言われました……。そうだと言うのに……!」
「悔やむな!ただ、反省すれば良い。それより、これから、どうすれば良いのだ?さっきの話からして、人々に、魔王を倒させるのだろう?」
「はっ!魔王を浄化する神剣は、既に、下界に準備してあります。信託も授けました。人々の中から、勇者が生まれる筈です!ジャショウ様は、取り敢えず、我が世界に降臨し、人として、生きて下さい!万が一、勇者が敗れた時、その力を以て、どうか世界を、お救い下さい」
「何か、まどろっこしいなぁ……」
「ええ……。分かっております……。しかし、なるべく人の手で、解決するべき事なのです。神に頼り、堕落してしまった人々が、もう一度、人の足で、立ち上がる為には!」
「分かった……」
人が、歩むべき道か……。
神の手から離れ、人が歩む世界……。
中々、茨な道だな……。
さて、本題に入ろう。
全ての神が集まり、話し合いが始まる。
取り敢えず、俺は、若返るらしい。
長い旅路と成るだろう。
そうすると、問題は、
「済まないが、俺には、時間が無いぞ?」
「大丈夫よ♪」
ナビ子が、満面の笑みで頷く。
老神達も、大きく頷き、
「取り敢えず、アルシファードの時間を止めるわ♪」
「そんな事、出来るのか?」
「ええ♪私達も、一気に、レベルが上がったからね♪」
「分かった……。それで、記憶の方は?」
「今のジャショウちゃんなら、若返るだけで、記憶を維持出来る筈よ♪」
「そっか……」
話をまとめよう。
俺は、十二歳に若返る。
記憶はそのまま。
アルシファードの時間は、停止する。
なるべく、人の手で、魔王を倒させる。
以上。
全員、顔を見合わせ、大きく頷く。
ネガレカが、申し訳なさそうな顔で、
「それと……。申し訳ないのだが、この世界の物を、我等の世界に、持ち込む訳にはいかない。それで、その……」
「ああ、うん。また、布の服のみの、初期装備に成るんだろう?」
「う、うむ。本当に、済まない!」
「まあ、大丈夫だろう。記憶が有るだけ、前回よりましだ。取り敢えず、しばらくの間は、冒険者でもやって、様子を見ているよ」
「そうしてもらうと助かる。取り敢えず、勇者が生まれる場所。魔王城より遠い、始まりの街エネッサの側に、転移させてもらう」
「分かった。街に入るのに、金とかは、必要に成るのか?」
「大丈夫だ。その様な事は無いし、ある程度は、責任もって、サポートしよう」
「そっか……。ネガレカ殿、よろしく頼む」
「いや、頼むのは、私の方だ!ジャショウ殿、よろしく頼む」
俺とネガレカは、固い握手を交わす。
それじゃあ、冒険を、始めるとしようかねぇ……。




