覚悟……!
またか……。
天上が騒がしい……。
俺は、般若の形相に変わる。
天界を穢すモノ……!
アスメアが、執務室に、駆け込んで来る。
「夫様!」
「また、異界の神々か……!」
俺は、エローラの肩を叩き、
「少し、天界に行って来る」
「ジャショウ君……。余り無茶は、しないで下さよ?」
「大丈夫、直ぐに、帰って来るさ」
さてと……。
今度は、どんな神が、登場するかな?
俺は、静かに怒り、天へと駆けた……。
天上界……。
おかしい。
妙に、静かだ……。
ナビ子達の気配は感じるが、戦いは、行なわれていない様だ。
それでも、強大な気配を感じる……!
ナビ子達が、戦わずして、屈したと言うのか?
いや……。
何にしても、この目で、確かめる必要が有るか。
倒せぬ敵では無い。
この世界を、喰らおうと言うなら、逆に、喰らってやるだけだ!
あの、アルーとか言う神と同じで、糞野郎ならな……!
潰してやる、潰してやる!潰してやる!!
俺は、狂気で、目を爛爛と輝かせ、凶悪な笑みを浮かべる。
アスメアは、うっとり笑い、
「夫様……。ああ、何と美しい……!その様な目をされては、わらわの体が疼きますぞ」
俺は、アスメアを、優しく撫で、
「さあ、狩りを始めるとしようか……!」
ふふふ……。
俺を、何処まで、強くしてくれる?
俺は、まだ見ぬ獲物に、舌なめずりをする。
あははは!
全てを、喰らい尽くしてやろうぞ……!
神々の集う場所……。
そこには、アステラとエステカと対峙し、三人の老人が、恭しく、頭を下げている。
何者か?
いや……。
内なる霊力は、何と膨大か。
異神か……。
俺の到着に気付き、老神は、優しく微笑む。
「待っておりましたぞ……」
俺を、待っていた?
アステラ達の、複雑そうな顔。
俺は、老神を、軽く睨む。
嫌な匂いはしない。
老神は、深々と頭を下げ、
「ジャショウ殿!どうか、我が世界を、お救い下さい」
「世界を救う……?」
「そう、救って頂きたいのです。我等に、侵略の意思はございません。人の身で、神の力を持つ貴方様に、救って頂きたいのです」
「自分達の世界なら、自分達で、救えば良いだろう?」
「出来ぬのです……」
老神は、自嘲気味に笑う。
闘うつもりか?
老神達が、膨大な力を、解放する。
力は、光に変わり、一つの星を映し出す。
随分と、穢れちまってるな……。
これが、この者達の世界か……?
老神は、儚げに笑い、
「人は、我等を忘れました……。今は、第二世代の神が、人々を、導いております。しかし……!」
「穢れの浄化を、怠った……」
老神は、静かに頷く。
老神の陰に隠れていた、若い神が、姿を現す。
「我等の咎です……」
「貴方は?」
「私は、第二世代の神の長、ネガレカ。穢れの意味を、理解しておりませんでした。全ては、我等の咎です……」
そう言い、ネガレカは、涙を流す。
老神達は、跪き、
「成熟した世界では、神は、直接、干渉する事が出来ません……。人の身でありながら、神の力を持つ、ジャショウ殿のお力が、必要なのです!」
「それが、理と……?」
「我等の世界の、ルールです」
「穢れが溜まり過ぎ、我等を凌駕する、魔王と呼ばれる悪神が、誕生しました」
「あらゆる手を打ち、魔王に対抗する術を、人々に与えました……。しかし!」
「人の手には余るモノ……。万が一、人の手で、魔王を倒せなかった時は……!」
「俺に、その魔王を、倒せと言うのだな?」
「ええ……。どうか、お力を、お貸しください」
「ふむ……。しかし、早計では無いか?貴方達の話からして、また人は、魔王と対峙して無いのでは無いか?」
「人が、魔王に敗れた後では、遅すぎるのです……。ジャショウ殿には、我等の世界に、転移して頂きます。しばらくの間は、我等の世界に、馴染んでもらう必要が有ります。故に、今で無くては、成らないのです」
「成程な……」
俺はあくまで、保険と言う事か。
俺は、アステラ達の方を向く。
「母さん達は、どう思っているんだ?俺達に、メリットは無い。俺は、強い奴と闘えれば、別にどうでも良いが……。この干渉は、理に反するであろう?」
俺の言葉に、エステカは、静かに頷く。
「問題無いわ、ジャショウちゃん……。極めてグレーだけど、侵略では無く、共闘。それに……」
「勿論我等は、ただでとは言っておりませぬ」
老神達が、前に出る。
覚悟を秘めた顔。
老神達は、膨大な力を秘める、神玉を、俺に手渡す。
前回、ツクヨが、俺達に見せたモノか?
そして、老神は、跪き、
「我等を、ジャショウ殿の、お力にして頂きたい!」
ソールイータ……!
この者達は、贄に成ると、言っているのであろうか……?




