大団円とは言えないが……。
ソドムでの、僅か一か月の領主交代劇。
やれやれ……。
何故俺に、ちょっかいを出す?
昨今の貴族達は、俺を意識し過ぎだ。
何をするにも、近道など、無いと言うのに。
俺は、ドミノ倒しの様に、彼等の暴走を睨み、指一つ動かすだけで、無様に倒れてゆく。
はぁ……。
サルスフォードの再来か……。
こんなに、国の利益の為に、頑張っているのになぁ……。
まあ、悪い所が、目立っているだけで、多くの貴族は、理解してくれているが……。
俺も、静かに、暮らしたい。
あの貴族達の尻拭いの為に、金を、どぶに捨てる様な真似は、とてもじゃ無いが、する気には成らないし。
慈善活動なら、ある程度は、やるつもりなんだがなぁ……。
どう考えても、あの貴族達は無能……。
いや、無能を通り越して、害悪だ。
手を差し伸べる訳には、いくまいて。
俺は、米神を押さえ、ため息をつく。
横に控えていた、アルサが笑い、
「ジャショウ様……。貴方様では、あの様な無能の思考は、理解出来ないでしょう」
「ああ、まったく理解出来ん。先の騒動で、エネス地区で、利益を得る事など、出来ないと証明されただろう。若い故に、理想を抱くのは良いが、何故、俺にちょっかいを出す?」
まったく、理解が出来ない。
今度は、ネムが笑い、カップにコーヒーを注ぐ。
「あの者達に、ジャショウ様の思想を、理解出来るだけの知恵が有れば、今回の様な騒動は、起こらなかったでしょうね。そして、それだけの知恵者故に、エネス地区の輝きに、惑わされてしまうのです」
「その様なモノなのか?哀れだな……」
「同情する必要は、有りませんよ。ただ、逆恨みだけには、注意しなくては成りません。ローマ様達に言って、警戒だけは、する様にしましょう」
「そうだな……。家族に何かあれば、徹底的に、潰すがな……。そうならぬ様にするのも、我等の勤めか……。ネム!ローマを呼んでくれ」
「畏まりました……」
はぁ……。
つくづく、厄介な奴等よ……。
結果から言って、俺達の懸念は、杞憂で終わった。
少年達は、俺に、復讐し様としたらしいが、その親が、大激怒。
数日とは言え、ソドムの建設に、親子力を合わせ、取り組んでいたが……。
無能……。
ただ、その一言に尽きる。
自分達の館に執着し、民を、蔑ろにする。
それどころか、幾ら諫めても、奴隷の様に扱っていたのだ。
その結果が、ラグーン達の反乱。
命からがら、スターリーに戻れば、ヨセフ達に、散々、罵られたそうだ。
そんな状況だと言うのに、必死に頭を下げる両親を他所に、少年達は、不貞腐れていたらしい。
結果が、少年達の追放……。
両親達は、大いに怒り、勘当を言い渡した。
それに合わせて、少年達は、ヨセフから、貴族の地位を剥奪された。
そこで漸く、少年達は、慌てたそうだ。
俺への、復讐どころでは無い。
復讐するにも、彼等は、全ての力を、奪われてしまったのだ。
前に、彼等の殆んどが、次男三男と言ったが、故に、長男が居る。
彼等の兄達は、慌て、両親を連れて、俺の処へ、謝りに来たよ。
俺は、快く許し、後腐れない様に、財の多くを失った彼等に、多額の援助をし、優しく、慰めてやったと言う訳だ。
我ながら、偽善も良い所だ。
内心では、苦笑していたが、涙ながらに、本気で謝り、感謝する姿を見て、心が痛んだモノだ。
この後、彼等は、親ジャショウ派を名乗り、目覚ましい復活を遂げる。
彼等の長男も、今回の一件で、俺との繋がりを得たと、喜んでいるそうだ。
やれやれ……。
これで漸く、静かに成るか……。




