厚顔無恥
こりゃぁ、水戸黄門だな……。
一体何人、悪代官が居るのだ?
貴族の連中は、ぽいぽい、ぽいぽい子を産むが、無能ぞろいだ。
才気溢れる若者は、中々、おりませんなぁ。
本当、頭痛がする。
何時まで俺は、エネス地区の統治を、やらなくては成らないのか?
ソドムの急成長により、難民が減少。
エネス地区は、また、広大に成ったのだが……。
確かに、分割統治を、考えたいところだ。
皆、許してくれないのだが……。
テッカ達が、卒業した暁には、テッカを頂きに、残りの少年少女達で、分割統治をさせるつもりだ。
そこら辺は、ガッツ達やヨセフと、話はつけてある。
しかし、それまでの間は、俺一人で、統治しなくては成らないか。
ソドムの方も、豊穣の神・アイレカ姉さんの力を借り、肥沃な大地に、変えてある。
順調に行けば、来年から、交易が行えるだろう。
例の貴族達からは、相当、恨みを買ったが……。
一切、取り合う気は無い!
逆恨みも、良い所だ。
現に、あの貴族達に醜態は、世間では、歌にまでなって、笑い種とされている。
まあ、多少は、同情している。
少なくとも、彼等の両親は、忠臣だったからなぁ……。
子の、浪費癖を諫め、必死に、村を創ろうとしていた。
その一点だけは、認める。
しかし、子供の暴走を止められぬは、末代の恥よ。
多額の負債を抱え、困窮していると言うが、どうしたものか……。
王宮・回廊……。
「貴様の所為で……。貴様の所為で、俺達の人生は、滅茶苦茶だ!」
件の貴族達か……。
面倒臭い……。
何処から、潜り込んだ?
騎士達が、少年達を取り押さえる。
歯を剥き出しに、喚き散らす。
「下賤の者には、施しを与え。何故、俺達に力を貸さなかった!?ふざけるんじゃねえ!!」
「ふん……」
俺は、少年達を、冷たい目で、見下す。
分かり切った事であろう。
「私は、ビジネスをやっているのだ。無能なお前達に、一エルたりとも、貸し与える言われは無い!」
「貴様ぁ!!」
「厚顔無恥が……。聞いているこっちが、恥ずかしく成る」
「貴様!貴様!!貴様ぁ!!」
騎士達に、引きずられる様に、去ってゆく少年達……。
本当に、頭が痛い……。
横に居た、アルブレッドが、
「儂には、あ奴等の考えが、理解出来ぬ。あれだけ、見下しておいて、助けてもらおうなどと」
「ふん……。相手にするだけ無駄だ。俺の周りの者に、危害を加えると言うなら、徹底的に潰すがな」
「ふむ……。我がローブ地区も、彼等の出入りは、固く禁じよう。無能な我等の、力は必要無かろう」
「ふふふ……。無能な我等には、彼等を助けられぬな」
「くくくっ」
俺とアルブレッドは、笑いを噛み殺し、その場を後にした……。




