国を乱せば、悪臣か……。
「ジャショウ君、急に呼び出して、申し訳なかったね」
「いえ……。ヨセフ国王陛下も、ご壮健の様で、何よりです」
俺は、言葉とは裏腹に、ウンザリした顔で、ヨセフを睨む。
ヨセフは苦笑し、
「ははは……。また、ジャショウ君、派手にやった様だね?」
「何の事ですか……?」
「ソドムの事だよ。貴族の訴えを聞き、ソドムを視察したら、最早、村とは呼べない、立派な街が、出来上がっていたよ」
「彼等の、頑張りでしょう……」
「たった、一月で、あの街を創ったと言うのかい?」
「私は少し、力を貸しただけです。立地を考え、今後を考えますと、投資しておくのも、悪くは無いと思いましてね」
「例の貴族達が、相当恨んでいたよ。自分達の時には、手を貸してくれなかったと」
「価値を、見出せませんでしたから……」
俺の言葉に、ヨセフは、苦笑を零す。
俺は、白々しく、
「国の金を使い、自分達の別荘を作ろうとした者達に、何故、力を貸さなくては成らないのですか?」
「ははは!ジャショウ君の言う事は、実にもっともだ。で、ジャショウ君は、ソドムを従えて、何を成そうとしているんだい?」
「はあ?従えているつもりは有りません。ソドムには、良き、取引相手に、なってもらうつもりです。エネス地区の、人口増大に伴い、食料の、安定した供給は、必要不可欠ですから」
「成程ね……。全ては、エネス地区の為か……」
「まあ、それが、私の仕事ですから……。ラグーン殿には、お知恵をお貸ししましたが、あの貴族共の財産は、戻って来た筈でしょう?今後、ソドムに干渉する事があれば、私が、潰しますよ?」
「ふふふ……。君の、心配する事じゃ無いよ……。不正に使った資金を回収し、もう、話はつけてある。彼らコバエは、私達の方で、潰しておくよ」
「畏まりました……」
俺とヨセフは、見詰め合う。
何方からともなく笑い、
「ウルヴア学園も、少し、考えないといけない様だ」
「ウルヴア学園の所為でありません。貴族達に、危機感が、足りないのです」
「本当、参っちゃうよ……。今回の一件、次男三男が多かったから、お家存続となったが……」
「まあ、丁度良いんじゃ無いか?潰れてくれるのであれば、ヨシカの政策が、実を結んでくれる」
「一応、彼等も、忠臣だったんだけどねぇ」
「国を乱せば、悪臣でしょう?」
「本当、どうにかしないと……」
俺とヨセフ、苦笑を浮かべ、ため息をついた……。




