この手を差し伸べて
「ラグーンと言ったな?私も少し、力を貸そう」
「こ、これは、ジャショウ様!」
ソドムか……。
中々、肥沃な土地では無いか。
俺は、白翼商会に頼み、大量の資材を、ソドムへと運ぶ。
村人は、百名を超えるか……。
取り敢えず、六十軒分の、資材を用意した。
俺は、ラグーンを見て笑う。
「あの、愚かな貴族達では、手を貸しても、無駄だと思ってな……。しかし、お主は、違う様だ……。民を導き、ソドムを発展させる自信はあるか?」
「は、はっ!もとより、我等は、あの貴族を追放した時、死ぬ覚悟を、決めております!ヨセフ国王陛下の恩情に、報いる為にも、命を賭けて、ソドムを、発展させたいと思います!」
「よろしい……」
俺は、ニッコリ笑い、宙に浮く。
持ち込んだ、資材が宙を舞い、俺の周りで、光り輝く。
大地は、一瞬で整備され、家々が、建ち並ぶ。
驚き、目を見開く、ラグーン達。
俺は、優しく笑い、
「ソドムの民達よ!これは、エネス地区からの、ささやかな、贈り物だ!君達の発展を、期待している!スターリーから預かった資金を基に、野を耕し、余裕が有れば、牛馬を買い、畜産を始めなさい。我等、エネス地区は、ソドムとの、貿易を約束しましょう。フリュクベリ商会を通し、率先して、牛馬を買いましょう」
人々の目に、希望の光が灯る。
俺は、ラグーンに、手を差し伸べ、
「どうだろうか?決めるのは、君達だ。折角、愚かな貴族を廃したのだ。既に、何か計画しているのであれば、無理強いはしない。ただ、立地を考え、提案したまでだ」
「い、いえ!実の処を言いますと、我等は、どうするべきか、悩んでいた処です。ジャショウ様の提案に、我等が、乗っかってもよろしいでしょうか?」
「勿論です。フリュクベリ商会の方には、既に、話を通してあります。皆様が、決意するのであれば、牛馬も、用意いたしましょう」
「な、何から何まで……」
「ははは……。エネス地区も、人が増え、物を必要としています。持ちつ持たれつですよ。
それから、恐らく、今回の騒動で、貴族達に、目を付けられる事と成りましょう。エネス地区でも、やっている事ですが、貴族から、圧力をかけられましたら、シルフィールの名を、お使いください。ソドムの後ろ盾は、シルフィールであると言えば、大抵の貴族であれば、どうにかする事が、出来る筈です」
「ジャショウ様、そこまで、考えて下さって……」
ラグーンは、俺の手を握り、涙を流す。
他の村人達も、その場にひれ伏す。
俺は笑い、
「そう、畏まるな!何か困った事があれば、我が家を訪ねなさい。出来る範囲で、力と成りましょう。皆で、力を合わせ、ソドムを、街へと発展させましょう!」
「「「ははっ!!」」」
ふふふ……。
あの貴族達では、期待が出来なかったが……。
この者達なら、期待も出来よう。
今は、村にも満たないが、スターリーに、最も近い街ソドム……。
今の内に、抱え込んでおくのも、悪くは無いか……。




