因果応報
イヴ同様、リースは俺と、相性が良い様だ。
俺とリースは、互いに、敵の行動パターンを、瞬時に計算し、戦いを、有利に運ぶ。
戦闘が、やりやすい。
平時は、アルテイシアの、良い話し相手だ。
ロブン先生とも、よく談笑している。
シャル達とも、打ち解けている様だ。
全て問題無い……。
リースが、物では無く、知能であるが故に、アルテイシアへの献上は、不可能であるし。
そもそも、一つの個体に、複数の人格が共存すれば、ただの人間であれば、支障をきたす恐れがある。
貴族達は、悔しがりながらも、諦める事と成った。
まあ、出来たとしても、リースを、手放す気は無いが。
もう、家族だし……。
益々、ギリセアでの、俺の立場は、不可解なモノに成った。
スターリー以上に、ギリセアの貴族とは、コミュニケーションを、取ってはいない。
俺が相手にするのは、ローラ達重鎮と、騎士団、それと民達だけだ。
抑えている所は、抑えているが……。
スターリー以上に、貴族から、警戒されている。
ロードが死に、ヴィータが死に、それに連なる者が、徹底的に、排除された。
力を以て、ギリセアの拡大を、目論んだ者達は、和平の道で、ギリセアの行く末を求めたアルテイシアを、侮り見限った。
それが、皮肉にも、彼等の誇示する、力を以て、排除されてしまったのだ。
そして、その陰には、俺が居た……。
スターリー同様、ギリセアの貴族達も、俺を、恐れている。
アルテイシアは、多くの貴族を排除し、新生ギリセア帝国を、創り出そうとしているのだ。
最早、彼等は、過去の遺物。
ギリセアの気風か、スターリー以上に、徹底している故の発展。
邪魔だと思えば、建国以来、仕えて来た貴族の家系でも、エリア達に命じ、排除してしまう。
反旗を翻そうとも、二度の大戦で、アルテイシアは、実力を、見せつけている。
力がものを言う国、ギリセア……。
アルテイシアは、不動の地位に、君臨しているのだ。
そして、俺もまた、絶対的立場に、存在する。
正直、貴族達の求めたモノであるが、ギリセアの貴族にとって、今のギリセアは、住みづらかろう。
しかし、彼等は、力を誇示する事でしか、自分を表現する術を知らない。
そんな彼等に、憤りを感じ、最近、何時にも増して、アルテイシアの機嫌が悪い。
そして、行き詰ると、俺に頼る……。
故に、貴族が、俺を警戒する、
負のスパイラルだ。
ただ、アルテイシア自身、かなり有能だ。
と言うより、褒めたくないが、天才と言う奴だ。
ギリセア発展の戦略も、しっかりと、考えている様だ。
ローラやエリアと言う、才有る若者が、重宝されている。
何度も言うが、そこら辺は、ヨセフと違い、アルテイシアは、徹底しているし、抜かりが無い。
恐らく、伸びしろは、スターリーより有るだろうな……。




