あくまで見学!
「馬鹿犬!遅い!!」
また、アルテイシアに呼ばれた……。
今回は、アイカ達も一緒に……。
アルテイシアは、アイカ達を、見定める様に、
「その子達が、あんたのパーティー?」
「ああ、そうだ……。来週から、深き眠りのダンジョンを、攻略に行くから、邪魔をしないでくれ」
まったく……。
こちらとて、暇では無いのだ。
アルテイシアは、胡散臭そうに、
「可愛い子達ね……」
「んあ?ああ、可愛いな……」
「可愛い子達ね……」
「ああ、可愛いな……」
アイカ達は、真っ赤な顔で、俯いてしまう。
俺は、ため息をつき、
「この子達の実力を、疑っているなら、見当違いだぞ?四人がかりなら、オーガも倒せるはずだ」
「まあ、あんたがそう言うなら、そうなんでしょうね!けど、変な気を、起こすんじゃ無いわよ!!」
「どんな気だ?」
まったく、何だと言うのだ?
俺は、ウンザリした顔で、
「用が無いなら、帰らせてもらうぞ?」
「待ちなさい!!」
だから、何……?
アルテイシアは、米神を押さえ、
「私達も、同行する。だから、他の生徒達にも、あんた達の訓練を、見学させなさい!もう、半数以上が、死んでいるのよ!流石に、問題だわ!」
「今更かよ……」
アルテイシアの言う様に、エステール学園生徒、残り二十四名……。
四分の三以上が、脱落してしまった。
残りの者達も、とてもじゃ無いが、騎士になど成れない。
このままでは、失敗で終わろう。
俺は、深々とため息をつき、
「前回の様に、邪魔だけは、させるなよ?アイカ達を差し置いて、前に出る奴は、容赦なく叩き切る!」
「ええ、構わないわ。アイカちゃん達の、実力は見るけど、他の者達は、あくまで見学。その点、はっきりさせておくから」
「なら、好きにすれば良い……」
やれやれ、面倒な事に、なりそうだ……。
しかし、出しゃばりな貴族は、殆んど死んだし、問題無かろう。
五階層までは、アイカ達に任せ、深き眠りのダンジョン、遊び尽くさせてもらおうか……?




