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天翔雲流  作者: NOISE
スターリーの街角で
108/1840

謁見……。

 午前八時五十分……。

 応接室で、くつろいでいた俺達の前に、青い外套を身の纏った騎士が現れる。

「ジャショウ以下!これより、国王陛下との謁見を行う!」

 ようやくか……。

 ここに来てから、一時間以上待たされた。

 口の周りいっぱいに、クッキーの食べかすを付けた、サクヤの顔を拭いてやる。

「私の後に続き、大広間に来られたし!」

 俺は、サクヤの手を取り、男の後ろに続く。

 キリカはシャルに任せて、と……。

 爺さんは、マイペースだ。

 大広間の扉が開かれる。

 白銀の鎧を身に纏い、その上から、青い外套を羽織った騎士が、ずらっと並んでいる。

 なかなか、精悍なものだ。

 国王は……。

 まだ、来ていない様だ。

 辺りを見渡す。

 色とりどりのステンドガラス。

 大理石の柱……。

 圧巻だ……。

 俺達は、片膝を立て、首を垂れる様言われ、その場で、中腰になる。

 右手は、胸に……。

 サクヤも、俺に倣って、首を垂れている。

 緊張?

 あんまり、しないな……。

 それより早く、この茶番を終わらせたい。

 どれほど待っただろう……?

 先ほど、案内してくれた男が、号令を掛ける。

 周りの騎士は、剣先を上に、胸元に押し当てて、直立不動の構えをとる。

 軽快なラッパ音。

 見事な刺繍の施された、ビロードのマントを羽織った男が、玉座に座る。

 静寂……。

「かの者達が、魔獣を倒した者か?」

 重厚で、それでいて威圧感の無い暖かな声が響き渡る。

 威圧感が無い?

 いや……。

 ここからでも感じられる。

 なかなかの、猛者だ!

「そこもと、名は?」

 俺達に、向けられた声。

「ジャショウ・シルフィール」

「シャルロット・シルフィール」

「サクヤ・シルフィール」

 俺達は、顔を上げ、答える。

 この人が、国王……。

 歳は、ギルムと同じぐらいか……。

 厚手の服からも分かる、筋肉。

 柔和な眼光。

 なかなかの、人格者の様だ……。

「ふむ。良い目をしている……。そこもと達、同じ姓を名乗っているが……」

「血も種も違えど、我等三兄妹……。共に手を取り、生きる者です」

「そうか……」

 玉座に座る男は、優しく頷く。

 やはり、この世界は面白い。

 俺は、言い様の無い高揚感を覚える。

 強者を前にした時とは、また別の……。

「そこもと達が、魔獣・ギルバードを倒したいきさつは……」

「成り行きで……」

「成り行き?」

「森の奥で……。瘴気の巣を探していた時に、対峙しました……」

「瘴気の巣を?何故じゃ?」

「可能性を模索するため……。浄化の技を身に着ける為に……」

 王は、深く息を吐く……。

 重く、重厚な時間が流れる。

「ジャショウよ。その方、勇者を目指しているのか?」

「いいえ。冒険者です」

「冒険者……?」

「世界を周り、美味い物を食べ、強い者を知る……。そして、三人で、苦楽を共にする」

 沈黙……。

 しかし、

「くく、ハハハ!聞いたか、ギルム?何とも頼もしき子供達じゃ!」

 国王が笑った!?

 て言うか、何でそこで、ギルム?

「国王よ……。戯れが過ぎるぞ?」

 後ろを振り向くと、ギルムは立ち上がり、頭をかいていた……。

「なんじゃ?畏まって……。昔の様に、ヨルムと呼んでも良いんじゃぞ?」

「ぬかせ!」

 は?

 何、知り合い?

 俺達が、目を点にして固まっていると……。キリカに関しては、泡を吹いて倒れそう……。

 ギルムと国王が、談笑し始める。

「何じゃ?言っておらんのか?拳聖ギルム!」

「その名は、よせい!」

「儂らは昔、冒険者をやっておったのじゃ」

 国王が、冒険者!?

「儂も昔は、やんちゃでのう……。城を抜け出して……な」

「主が、王子だったなどと、聞いて居らんかった!」

「しかし、お主ほどの者、国で召し抱え……」

「いらん!宮仕えは、儂の生に合わん!それに……」

 一同の目が、キリカに向かう。

「ハニバルの娘か……」

 国王は立ち上がり、キリカの前に来る。

「キリカと言ったか?」

「ひ、ひゃい!」

 涙目の、キリカ……。

 すげえ、震えてる……。

「キリカよ……。そこもとの、父上には悪い事をした……。ただ一人、死地に向かわせてしもうた……」

「父さ・ま……?」

「そこもとの父、ハニバルと、儂、そしてギルムは、共に冒険者をしておったんだよ」

「国王様と父さまが……?」

 国王は頷き、キリカを優しく撫でる。

 キリカは、感極まって泣いてしまった。

「キリカちゃんを、泣かせちゃあかんよ!」

 サクヤが立ち上がる。

 俺は慌てて、サクヤをなだめ、いじめている訳じゃ無いと教える。

 シャルは、可笑しそうに笑い、キリカは、嬉しそうに泣き笑った。


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