何時も通りが一番!
「ジャショウ!準備出来たん?」
現在、朝の四時……。
昨晩は、あの後、質問攻めにあい、魔獣・ギルバードの毛皮を披露した。
一同は、感嘆を零し、又、苦笑する。
しかし、
『まあ、ジャショウだし……』
との事……。
俺だったら、何だと言うんだ!
実に失礼!
ガルガト呉服店のおっさんは、親父が知ったら、悔しがると……。
まあ、昨日の事は置いといて、何にしても、今は、身支度が先決。
とは言っても、着る服は一着……。
ガルガトの爺さんが作ってくれた服。
何処に行ったって、決して恥ずかしくは無い代物だ!
俺が、鏡の前に立つと、サクヤとシャルが部屋に入って来た。
「ジャショウ。寝ぐせは無い?」
シャルは、甲斐甲斐しく、俺の身なりを正してくれる。
「シャル姉とサクヤは?」
「シャル姉が、髪を結ってくれたんよ♪」
そう言うと、サクヤはその場で、くるりと回る。
おお!後ろ手に結んだ髪が、フワリと浮かんで、可愛らしい……。
しかも、真っ赤なリボン……。
黒髪に映えて、何とも可愛らしい。
ここが重要だ!
サクヤは可愛い!
良いね?
俺が、サクヤに見惚れている間に、シャルが、髪の毛をセットしてくれた。
ん~~~。
あまり、ガチガチにセットはしたくない。
「シャル姉。もうちょっと、自然で」
「ん~。そうね……。なんか、これじゃあ、ジャショウぽく無いわね」
まるで、七五三だ……。
俺は、髪をあえて崩し、整え直す。
うん!ばっちり!
二人を連れて、一階に降りる。
って、おいおい!
キリカが部屋の前で、体育座りしてんだけど……。
……。
寝巻のままだし……。
「キリカ!」
「ひ、ひゃい!」
飛び上がるキリカ……。
涙目になったキリカを前に、俺達は苦笑する。
「あ、あの……。王様に謁見するって……。私、何を着ていけば良いか分からなくって……」
シャルが、見かねて、手を差し伸べる。
「一緒に考えましょう?」
「う、うん……」
「アタイも、考えるんよ!」
二人に連れられ、キリカは自室に向かう。
「ジャショウは、朝食の支度をして下さい」
「ジャショウ。ご飯作っとくんよ」
「あ、あの。料理は出来ているので、盛り付けだけでも……」
俺は、三人を見送る……。
何か、最近、俺の扱いって……。
カウンターに向かうとしようか。
キリカは、料理が出来ていると言ったが。
良い匂いがする。
キッチンに向かい、辺りを見回す。
ベーコンエッグに、サラダ……。焼き立てのパンが置いてあった。
うん。美味しそうだ……。
けど、ご飯が食べたい……。
米に味噌汁、濃い緑茶が飲みたい……。
まあ、無い物ねだりは止そう……。
食材に感謝!
お皿に取り分ける。
「おう!そろそろ飯か?」
ギルムが、顔を出してきた。
「居るんだったら、手伝えよ!」
「年寄りを、働かせるな!」
爺は、平常運転……。
服装も、変わらない。
「爺さん。その服で行くのか?」
「なに……。特別な事じゃ無いからのう」
王様に会うのが、特別じゃ無いだと?
この爺さん、本当、何者だ?
俺は、苦笑交じりで、聞き流す。
この爺さんの事は……。まあ、どうでも良いや……。
そうこうしている内に、三人が戻って来る。
キリカは……。
いつも通りの服装だ……。
「あまり、めかし込んでも、仕方ありませんから……」
「皆、何時も通りが一番なんよ♪」
まったくもって、その通りだ!
この子達、何を着ても可愛いし……。
俺も結局、いつも通りだし……。
爺さんも……。
正直、あんまり、緊張しないんだよねぇ。
何と言うか、どうでも良い……。
適当に、話合わせて、退散しよう。
うん!それが良い!
どうせ、偉い人の気まぐれだろうし……。




