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7.怒りの言葉

 夕食の時間。今の俺にとってそれは、もっとも気まずい時間だった。食事はやっぱり家族団欒で食うもんだ。そこに異物がいればそりゃ気まずくもなるもんだ。


 この場合異物とはもちろん俺のことだ。


 まあ、実際のところ気まずさを感じる原因は主に瑠梨子ちゃんが一言も話さず、不愛想な顔でご飯を食べているからだった。


 三河夫妻は気を遣って俺に話しかけてくれた。学校のことや、日常生活のこと。特に日常生活に関しては、俺が荷物を持ってこなかったから必要な物はないかと聞いてくれた。

 しかし、そんな会話は、俺を申し訳ない気持ちにさせた。一言一言を交わすたびに、俺の心は罪悪感を覚えた。


 そして俺は今日もまた、罪悪感を覚えながら夕食を終えた。ご馳走様を言って食器を下げ、階段を上がって自室に向かった。

 二階廊下に早々に夕食を終えて、先に二階に上がっていた瑠梨子ちゃんがいた。一階降りようとしているみたいだ。

 放課後のように無視されると思って、黙って横を通り抜けた。


「お前、なにが目的なんだよ」

 女の子とは思えない、どすの効いた声で、瑠梨子は言った。

「お前が何も持ってこないから、母さんはお前に兄さんの物を与えてる。お前はあいつの部屋を使ってる。そしてなにより許せないのは、お前が抜け殻みたいに生きてること」

 声はだんだんと大きくなり、目はどんどん鋭くなって俺を睨んでいる。


「生きる意志もないくせに、あいつの物を使うなよ」


 そう言って、瑠梨子は去って言った。残された俺は、ただ黙って部屋に入った。


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