似た者同士
「大嫌いよ、あなたなんて」
私の放った言葉であるというのに、心中、酷く泣きたくなった。
私と澪は、仲が悪かった。
いつから、なんて覚えていないし、昔がどうであれ、今はお互い嫌い合ってるのだから関係無いと思う。
きっと、澪もそう思っている。
とにかく、私は澪が大嫌いだった。
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「姉さん」
にこにこと張り付けた笑みの澪が話しかけてきた。
相変わらずの“作った”顔だ。
気持ちが悪い。
酷く吐き気がして、ゾワリと立った鳥肌を擦った。
「……一卵性の双子はよく似るって、あれ、本当にそうですよね。」
意地悪く笑う澪は、そう思いたくなんてないけれど、確かに私によく似ていた。
一卵性の双子。
私たちは、そう言われる存在同士だった。
「よく似ているとは思いますよ、ボク達。
……似たくなんか無かったですけど。」
私の方がだ、と言ってやりたい。
嫌だな。……でも、ああ。
……やっぱり私達は似ている。
「……そうだ、姉さん、もうすぐ母さん達の命日ですよ。」
そう言って楽しみですね、なんて笑う澪は、とてもじゃないけれど死んだ人間を悼む気持ちは無いようだ。
しかも、母親の命日なのに。
まるで何か、祭りでも始まるような無邪気さを見せる。
澪はそうだ。いつもそうだ。
母親の死なんてどうでも良さげだ。
…………私は、辛いのに。
「お線香、あったかな? あ、あと、ライターも。
……参りましたねぇ、まだ一年も経ってないのに。どこに仕舞ったかなぁ。」
ごそごそと棚の奥を荒らして線香とライターを探す澪は、まだ笑顔のままだ。
ここまで来ると、見事としか言いようがない。
「…………澪。」
「…何ですか?」
澪の作った握り拳は震えていて、茶色の棚の上に小さな水溜まりが出来ていて。
やっぱり。
分かっていたけど。
やっぱり、この子は、澪は。
「大嫌いよ、あなたなんて」
心の底から思っているのに。
私の手は震えていないのに。
水溜まりだって出来ていないのに。
どうしてだろう。
僕もですよ、と笑う弟に、私は酷く泣きたくなった。
初投稿がよく分からないものになってしまい、何だか申し訳ないです…。
いつも考えてることとか、何でもないこととか。
そんなものばかりになると思います。
これからよろしくお願いします。