第三コメ 元新聞部康天馬です
今は昼過ぎ頃
「さてと、こんなもんでいいかな。」
今日は朝から町にでようと決めていた。少しだけ新しい世界の町ってこともあってワクワクしている。
遠足に行く小学生といったところだろうか。
町を見て回りたいと話て了承も得たところで準備中である。
果たして了承を得る必要はあったのだろうか・・・
ま。なんでもいいや、ちなみに今回誰かに案内してもらうなどということはない。
これは僕が提案したものだ。なるべく自分のペースでゆっくり見て回りたかったからである。
さて、準備も終わったし行こうかな。
そうして玄関とは言えないような大きな扉に向かうとそこにトレーシィーさんが立っていた。
「なんですか?」
「いや、見送りに来たんじゃよ」
「あ。そうですか」
「うむ、いってらっしゃい。
あ、それと。不審者に殺されんようにな~」
「はーい。いってきます」
一礼して僕は城を出た。全く小学生でもないんだから、不審者にころ・・・される?
僕は何も考えず町まで早足でかけていった。
ワイワイガヤガヤ
「おーここが城下町ってところかー...って人多いな。」
思ってた量の軽く3倍はいる。
でも城下町を自分の足で歩けると言うのは少し楽しいものだ。
僕はそのまま人の隙間をくぐって進んでいった。
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「えっと。ここは・・・?」
迷った。
いやいやいや、大丈夫だ問題ない・・・フラグか。
ガシッ
「うわぁ!!!」
いきなり肩を掴まれて飛び上がった。
そしてそのまま後ろを振り返ると・・・
帽子・・・黒
服 ・・・黒
ズボン・・黒
靴 ・・・黒
そして極めつけのサングラスとマスク!
もちろんサングラスも黒、マスクも!
いや、マスクは黒じゃなくてもいいだろ!
いや!落ち着け、黒が好きなただのサラリーマンかもしれないじゃないか。
多分、今日はこっちの世界は祝日なのかもしれない。
そうだ、きっとそうだ、だって町にかなり人いたし。あんな人が町を徘徊してるのだから、きっと祝日にきまってる。そうだきっとそうだ!!
!!なんかしてる―――!
黒ずくめのやつを見ると、ポケットに手を入れて何かをゴソゴソ探してる、
ま、まさか。ナイフ・・・とか?
まさかー。だからこの人は黒が好きなサラリーマンだって。あはは
すると黒ずくめのやつはやっと見つけた物をポケットから取り出す。
・・・ナチュラルにナイフでてきた。
ナイフをこっちに向けて、黒ずくめが話しかけてくる。
「殺す・・・」
いや、そんな宣言しなくても!!!
いきなりの宣言に戸惑い反応が遅れる。ヤバイ、避けれな―――
「ちょっとまったぁ!」
!?なんだ、いきなり風が・・・
風に巻き上げられていた砂埃がおさまったと思ったら、さっきの黒ずくめが倒れて・・る?
「そこのあなた!」
後ろから声が聞こえて振り返ると、そこには。
「そう!そこのあなたです」
女の子が立っていた。
僕と同じぐらいの歳で黒髪のポニーテールに、首からぶら下げたカメラが印象的な子だった。
その子はポケットからメモ帳を取り出すとサッとこちらによってきた。
少し、警戒していると。
「さぁ感想をどうぞ。」
「へ?かんそう?」
「そう、感想です。今の今まで襲われていたのですから、一言二言あるでしょう?」
さあ、どうぞ!と言われ、とりあえず今の気持ちを言葉にしてみた。
黒ずくめに襲われてたとかもうどうでもよくなってきたが・・・怖かった。と一言
そうですか、と苦笑いされた・・・
「そんなことより、君は?」
「わたしは、ベス・アルンこの国の新聞屋で働いています!」
「新聞屋?」
「はい、この国の情報網の始まりの場所と言っても過言ではありませんね!」
「へー」
適当にベスの話を聞き流して、元新聞部の僕は新聞屋の方に興味がいっていた。
「・・・それより。あなたなんだか変な感じがしますね。」
「え?」
変な感じだと!?いや、確かにここに来てからは謎なものだらけだし少し挙動不審になりがちだけど・・・
「これは・・・特ダネの予感…!
少しだけ、取材させてもらってもよろしいですか?」
「特に用事もないしいいよ」
僕がそう言うと『それじゃあ早く行きましょう!』と満面の笑みで連れて行かれた。
ものすごいご都合展開だけど、まぁいいや。
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「ただいま帰りましたー!」
そう言ってベスは勢い良くドアを開ける。なんか、一つ一つの行動に勢いがありますね。僕と真逆で・・・
「おう、ベスやっと帰ってきたか。....で後ろにいる兄ちゃんは誰なんだ?」
「この方からはとてもネタになりそうだったので連れてきました」
「そうか、犯罪にならない程度にしとけよ」
「はいはい、大丈夫ですよー」
最後の方は聞き逃せないような単語が出てきたぞ。
どうしてこの世界の人はこうも物騒なことしか言えないのかな・・・
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「で、あなたはどこの国から?」
「日本」
招待された部屋で注がれた紅茶を眺めながら答える
だから、紅茶飲めないって!
「にほん?それはどこの国でしょう」
ベスがキラキラとした目で聞いてくる、そろそろこの勢いにも慣れていかなければならないのかもしれない。絶対に慣れたくはないが・・・
「異世界・・・なのかな」
「異世界ですか・・・ナルホドナルホド」
「・・・それ、何書いてるんだ?」
「新聞の下書きですよ、家にいるときはもうそのまま書いちゃいます。そのほうが感情移入して書けますし」
「なるほど・・・」
「・・・あ、そういえば。まだ名前聞いてませんでしたね」
「ああ、そういえば僕だけ言ってなかったな。僕は康天馬だ」
「ナルホド、康さん・・・と。あ、名前は新聞に載せても?」
「いい・・・と思う」
「はーい」
・・・僕。帰ったほうがいいのかな?
特に行くあてもないので僕はベスの新聞を作っている姿を見つつ高校生活を思い出していた。
「どうしたんですか、変な顔して・・・」
「へ?」
どうやら物思いにふけている僕の顔は変な顔らしい。
「いや、懐かしいと思っただけだよ。僕も昔は新聞を書いてたし。」
まあ、こんな本格的なところじゃなくて、もっと子供みたいな新聞だったけどね。
「そうなんですか?」
「うん」
「なら手伝ってもらってもいいですか?」
「いいよ」
なんだか、ものすごく早く物語が進んでいくんだけど・・・いいの?いいのか。そうだ、きっとそうだ。
「じゃあ、これと、これと。あと―――」
資料を渡された。これを使って新聞を書くのか?
「それ、整理しておいてください。」
「雑用かよ!!」
その後3時間ぶっ通しで雑務をした結果www↓
「お疲れ様でーす。いやー助かりましたよ、最近は人手不足でー」
「最近で溜まるような量じゃなかったぞ・・・」
そう言いながら僕は手元にあったお茶に手をかける・・・ってこれ紅茶だ。
「あとはまとめに入るだけなんでもう終わってもいいですよ。あ、お給料はどれくらいがいいですか?」
「いらないよ。僕は僕で結構楽しかったし」
正直、お金は結構ある。町に出る時『危ないから』とトレーシィーさんから渡されたお金が財布にぎっしり詰まってる。
「あとで、返さないとな・・・」
そしてひと休みした僕は暇だったのでちらっとベスの新聞に目を傾ける。
「・・・ちょっといいか?」
「ん?なんでしょう」
「ここらへんをさ、こう・・・こんな感じに」
「ほうほう、確かにそっちのほうがいい感じですねえ」
「ついでに・・・」
「はいはい――――」
こんなことを繰り返しているといつの間にか新聞の半分が手直しされてしまった。
「結構私も修練が足りませんね・・・」
ベスが、うーんと唸っているのを見て少し優越感に浸っていた。
元の世界じゃ上には上がいすぎるもんなぁ。
すると、突然。
「てーんーまー!!ここにおるのかー?」
この声は・・・トレーシィーさん?!なんでここに・・・?
「トレーシィーさん、何しに来たんですか?」
「何しに、じゃないわ!今何時だと思っておる!!」
今?今は・・・っと
「5時ですよ?」
「門限はとっくに過ぎとる!!」
「え。え~!?」
「帰るぞい」
そのまま襟を引っ張られて、連れて帰られようとしたその時。
「待った!」
作業部屋の方から声が聞こえた。
なんだ?逆転すんのか?
「まってください!」
そう言いながら奥の部屋からベスが出てくる
「その人と国王の関係は何なんでしょうか!?」
おう、そっちか。
もうちょっとさ、なんか。
その人はうちの従業員です!
的なものかと思ったんだけど。気のせいかな?
「まあ待て、もう今日は遅い。話も長くなるじゃろうから明日まとめて話すとしよう。それでええかの?」
「はい!もちろんでございます!!」
そう言いながらベスはビシッと敬礼をした。
なんとなくベスの仕事とプライベートのテンションの違いがわかって来た気がする。
そう思いながら帰路につく。
今日も世界は平和なり・・・
なんだろうこの終わり方。