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第二コメ 異世界に降り立った初日

ん・・・ここは。

目を覚ますと。僕は見知らぬ場所・・・はっ!


「知らない天じょ―――「あら、やっと起きたのね」


言わせねぇよ。と言わんばかりの勢いでネハが部屋に入って来た。

全くノックぐらいしろよ、着替えてる途中だったら、どうするつもりだったんだ・・・・・・・誰得よ?


「ここは?」


「ここは城よ、王都リヒトのね。」


王都、リヒト・・・ドイツ語で、光

まずい、中2の頃のことが思い出される。できれば、一生忘れていたかった・・・

そんな黒歴史を思い出し悶絶してると。


「ところで、身体の方はどうかしら。」


「からだ?そういえばなんとも・・・」


確かに刺されたはずなのにその傷は綺麗サッパリ消えていた。

自慢じゃないが。元の世界での身体の脆さはうちの学校ではトップクラスに入る程だった。

あの時、たしかに死んだと思ったけど・・・ま、生きてるからいいか


「そう。元気なら少しついてきてくれる?お父様が呼んでるわ」


そう言ってネハが扉を開ける。

わかったと言って僕はついていった。

道中珍しい物ばかりで小さい美術館みたいだった。

すごく惹かれるツボがあったが、ネハに日本が滅びるレベルの値段を言われそそくさとその場を去った。

あれ?ネハってそんな金持ちなの?

それとも、この世界がヤバイの?

どっちだろう・・・


そして、結局僕がいろんな物に興味をかけてると三十分ぐらいの時間がかかっていた。

その後は、なるべく早めに行ったがかなり時間がかかった。

この屋敷広すぎる。

そしてそこから三分ほどで王の間的なところに着いた。


ネハがドアを開けると、ドアの先から赤い絨毯がまっすぐ玉座まで引かれその横に一定の間隔で騎士が立っている。

勇者視点を目の前にして僕は少し固まっていた。

天馬?とネハの呼ぶ声で我に返り歩き始めた。

そして玉座に近づいていくに連れ王様の覇気がビンビン伝わってくる。

内心ビクビクしながら玉座へと近づいていった。

そしてついに玉座の前についてしまった。


「貴君が天馬か・・・?」


ドスの利いた声で聞かれる。


「は、はいっ」


と、普通に返事を返せてるのかもわからないほど弱々しい声で答える

そんな、睨む蛇と睨まれた蛙のような立場で会話してると隣からネハが会話に入り込んできた。


「お父様・・・いい加減変身魔法解いたらどうです?」


What?なんだって?変身魔法?

ネハがそう言うと王様が。


「なんでバラすんじゃ。もう少し楽しもうと思っておったのに。」


「だって、天馬が蛇に睨まれた蛙みたいになってたもの。」


「は~つまらんのー」


そう言うと王様から煙が吹き出してきて王様の姿が見えなくなったところで、少しづつ煙が晴れていく。

見えてきたのは、こども?5歳ぐらいの姿の王様が姿をあらわす。


「ふう。最近は歳のせいか変身するのも疲れるのう。さてと天馬くんこの度はうちの娘ネハを奴隷商人の手から守って貰い感謝する。

その礼といってはなんだがお主の望むものを言ってみろ」


・・・色々と思考が追いつかないです。


「お父様?天馬はもう頭がパンクしているようだけど?」


「・・・そうじゃな。それじゃあ、とりあえず部屋に返してやってくれ礼はそのうちしよう。その間にも色々とこの国について教えてやってくれ」


「わかったわ」


・・・色々と思考が追いつかないです。


「さあ、早く来てくれない?貴方を引っ張って連れていけるほどの力は私にはないけれど」


「ああ、わかった。今行く」

って、なんで引っ張っていくこと前提なんだよ・・・


ふう、と僕はゆっくり部屋の椅子に腰掛けた。

この椅子、校長室にありそうな椅子だなーとくだらないことを考えているうちにネハが紅茶とクッキーを持ってきた。


「はい、どうぞ」


「ああ、ありがとう」


お城で出てくるものと言ったら紅茶とかだよね、そんな印象が強いよね。僕もなんとなく予想はしてた。

でもさ。


ぼくこうちゃのめないんです。


異世界に行く人たちってさ。大体が少年じゃない?

そんな子たちにはやっぱりお茶がいいと思うんだ。麦茶とか。

ん。でもクッキーは美味しいな、紅茶飲んでないけど。


「とりあえず、何から説明しようかしら」


紅茶にチャレンジしようか悩んでる僕にネハが話しかけてきた。


「ところで、貴方はこの国のことをどこまで知っているの?」


ネハが聞いてくる。


「えーっと、僕はね、」


この世界の人間じゃない。なんて言えない、そんなことを言えば『何言ってんだこいつ』的な目を向けられるにきまってら!!


「まず、貴方この世界の人間なの?」


「え・・・?」

予想外の質問がとんできた。

そんな普通の事のように聞かれても


「そう・・・だけど」


恐る恐る返事を返す。


「やっぱり。色々とおかしいと思ったのよ、服装も珍しいし国だって聞いたことないし。」


「え、いやそんな簡単に信じてもらえる事なの?」


「?そんな珍しいことじゃないわよ。確かにわたしは会ったことなかったけど。過去の文献によれば結構な数来てるみたいだしね。


まじですかー。でも、たしかにアニメや漫画の人物だけ異世界に行ってるってことじゃないのかも。それ以外の人も行ったけど。何もイベントが無く異世界でそのまま暮らしたのかも・・・

そう考えるとあのまま僕も町を見つけられず干からびてた可能性も・・・

おーこわいこわい

ん?てことは


「ところでさ、この世界のお金って何?」

もしかしたら円ではないかもしれない。ってか違う可能性のほうが圧倒的に高い。


「この世界のお金?それは―――円?」


ほー。円ねー、って円!?マジで?


「ほらこれよ」


と言ってジャラっと手のひらにお金を乗せてこちらに見せてきた。

・・・え?


違う。

円は円でもこの世界の円。日本の貨幣とは全く違った。

まぁ、この世界に野口英世とかいたわけないし。

よくよく考えれば当たり前のことだった。


「やっぱり、この世界のお金と貴方の世界のお金は違うのかしら」


「違った。名前はいっしょだったけどね」


「へぇどんなの?」


「いまは持ってない」


「なんだ、持ってないのね」


ネハに聞かれてこれと見せたかったが。

この世界に来たとき何も持ってない状態だったので、お金なんてもちろん持ってない。

それに、いつ来たかも全くわからない。前の世界の記憶はあるが、この世界に来る少し前の記憶は全くない学校に行く途中ならカバンとか持ってるはずだし。

でも、ここに来たとき制服だったしな―――あれ?


「僕の服は!?」


そうだ、なんか違和感を感じていたが。服が全く違う・・・


「まさか///」


「わたしは着替えさせてないわよ」


「あ、そっすか。」


普通に引かれた、まぁそんな目には慣れてます。



そして、その後もいろいろとこの世界について教えてもらった。

なんとなくわかったのが。


まず、この世界には僕の大好きな魔法があるらしい。

それと、この王都は世界の中心とも言える大きな国らしい。

なんか、お礼もらえるとか言ってたよね、僕が考えることなんて指先で叶えてくれそうな気がする。

ああ、あとはこの世界には人間以外の種族がいるとかなんとか、

まぁ、それ以外は専門用語ばかりであんまり良くわからなかった。


そんなことより気になるのは城の外だけど、今日はかなり日が落ちている。ネハも自分の部屋に帰っていったし。

まあ、明日でもいいか。

ゆっくりと、明日のことを考えてると扉がノックされてメイドさんが迎えに来た。夕食の時間らしい

そう言われ僕が案内された部屋に入るとものすごい細長い席に王様とネハがそれぞれ逆の端に座っていた。

そして僕は席に座るが...

遠い!王様とネハの間は実に3メートルは軽く超えてる。

三人しか食べてないのにもっと小さいテーブルはないんだろうか。

この広さに少しビビってる自分がいる。

すると王様が話しかけてきた。


「そういえば、お礼は何がいいか決まったかね?」


「んー別になんでもいいですけどね・・・」

そんなことよりまだ王様の名前聞いてなかった。


「別にネハでもいいんじゃぞ?」


ブッ!いきなりの言葉に食べ物を飛ばしそうになった。

漫画のこのリアクションって真面目に出来ないと思ってたけど出来かけてたな・・・


「な、何言ってんですか!」


「ふふふ。別にネハもそろそろ、そういう年頃じゃしな。」


そんなことネハは真顔で拒否するに決まってる。ほら今のやり取りを見てたネハも普通の顔してるし。


「じゃあ、とりあえず貸しにでもしといてください。」


「そうかそうか。ま、そう言うなら貸しってことにしとこうかの」


「はい。あ、そういえば貴方のお名前はなんて言うんでしょうか。」

ものすごい今更感があるが、やっぱり気になる。というかせっかく作っ・・いや何も


「わしか?わしはトレーシィー・ビアードじゃ。気軽にビアちゃんとでも呼んでいいぞ」


「いやいや、そんな呼び方、一国の王に出来ませんよ」


「そうか?わしは別にそんな物どうでもいいと思うがのう」


「なら。トレーシィーさんで」


「うむ。そこら辺がちょうどいいかの」


「はい」


こうして意外と平和に夕食は終わった。

実は怖かったんだよ。だって、初対面の人にいたずら仕掛けるんだぜ?

夕食もなにかあるかもって思ったんだ。


あ、でも意外と優しい人ですよ、このままここに住んじゃえとか言ってくれたし。

まあ、ちゃんとした家が見つかるまでって言ったけどね。

そんなに迷惑になるつもりはない。


かくして、僕の異世界に降り立っての初日が終わった。

特に進展はなしか・・・

あ、いや。ネハとの仲じゃないよ!?違うからね!?







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