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Destiny 〜自衛隊冒険記〜  作者: 紅
〜序章、召喚編〜
2/6

ことの成り行き...冒険の始まり...

少年達の置かれた状況を説明する為に少しだけ時間を戻すことにする...




西暦2352年7月18日 am10:38

「あっぢ~~~いぃ...」

「やめろ~響~暑さが増す...」

この日、日向 護 率いる陸上自衛隊少年科の幹部育成組第39試験小隊は石川第一戦闘区域...つまり21世紀の名称で言うところの石川県に来ていた。

「でもよ~なんで俺たちだけこんな所で爆弾解体なんてクッソつまんね~作業見てなきゃいけないわけ...?」

「あのなぁ~お前、仮にもこの小隊の副隊長だろ~が...だとしたら隊長の俺だけこんな所に立たして、自分は別作業とかいうわけにはいかないだろう...」

そう、今まで紹介していなかったが、「護 」こと日向 護 一等陸曹、そして「響 」こと佐山 響二等陸曹はそれぞれ第39試験小隊の隊長 、副隊長なのである。

「それによ~...あいつらみたいにこの灼熱地獄で

弾薬と食料の備蓄と確認作業なんかやりたいのか?...俺はやだぞ...」

護の言う通りに響が後ろを向くと、残りのメンバーが弾薬と食料の備蓄と確認の作業をしていた。

確かに...残りの弾薬、食料の備蓄.確認をしている隊員達は目の焦点が合ってないように見える...と言うより目が死んでいる。ハカセにいたっては特殊車両の陰でぶっ倒れている始末である。


「......確かにあれはやりたくないな...」

「だろ?それだったら隊長である俺が上官に直々にお願いして得たこの見学と言うなんとも素晴らしい仕事をだな「でもよ...そもそもこの仕事、お前が上官に家の方で核爆弾の解体をやるなんて言わなきゃしなくても良かったんじゃないのか?」


「............」


そう、この仕事は日向家が爆弾の解体をすると言うことをうっかり護が上司の前で言ってしまった為に当てられた仕事なのである。その時の状況を描写するとこのようになる...



ー2352年7月15日 am9:50

「一佐、実は今度日向家の領地で発見された核爆弾の解体をするんですよ!」

「ほぉ~...流石は日向家だな、核爆弾の解体も許可されてるのか。よしっ、滅多にない事だからな、お前ら小隊全員で行ってこい。」

「「「「「............へ?............」」」」」ー


そして今に至る訳である。


「そりゃまぁ、核爆弾の解体だからなぁ、興奮すんのはわからんでもないけど、なんでよりによって上官に自慢すんのかなぁ...」


「...面目ない...」

要するに、他の隊員達にはとんだとばっちりだった訳である。

「ま、なっちまったもんはなっちまったもんだしもういいけど...」

ここで護を弁護する為に行っておくが、2352年の日本国で核爆弾の解体を認可されているのは、日向家を含めても僅か5つの家だけである。そして核爆弾の解体が認可されるには技術力が国が定める基準で審査され日本国内で5番までに入る事が認められた家だけが解体を許される。よってとても名誉な事なのである。


「しっかし、まだ戦争の名残りがあるとはなぁ...」

「いつになっても消えないと思うぞ?第三次世界大戦の名残りは。俺たちには見えない形で。」


第三次世界大戦 これが日本に核爆弾があった理由である。

西暦2300年8月26日、百数十年にわたる北の横行に我慢の限界が来た国際連盟は、北との全ての貿易を停止し、北は食糧難、経済難、そして何より燃料の調達に大きな問題が出てしまった。切羽詰まった北は力づくで燃料を手に入れるため韓国、そして中国に核爆弾を撃ち込んだ。

もちろん、これだけでは大国は滅びたりはしない。しかし、世界各地の北の国民たちが一斉に原発、核爆弾のある軍の基地を急襲、軍の内部にも北の国民はいたので、世界中で核爆発が起こった。これで、国際連盟はブチ切れ、第三次世界大戦 核戦争が始まった訳である。その最悪の事態を確信していた核廃止連盟は研究段階であった「高密度完全遮断型シールド」を加盟国に渡し、展開させた。それは、展開した場所に核爆弾が侵入すると、高密度の分解能力をもつ原子「イージス」がウランの反応を完全に停止させ爆発すらしないというものであった。しかし、開発途中であったために、すでにまき散らされた放射能までは浄化する事が出来なかった。よって人口の5割が死滅すると言う悪魔の出来事が起こったのである...


「でもよ護、なんで爆発しないって分かってんのにこんなに厳重なんだ?」

「あのシールドは、まだ未完成だっただろ?正確には爆発すらさせないんじゃなくて爆発しなかっただけなんだ。だから、解体中に爆発する事は理論上あり得るんだ。」

「だからこんなに厳重なんだ?」

「そそ、」

そしていよいよ爆弾が解体作業に入った、日向家の手順は完璧だった...それが本当に大戦時の爆弾であったなら...しかし、日本政府、日向家などは考えもしていなかった。もしも、日本国内に大戦後に作られ意図して全てのプログラム、内部構造が、逆に造られている爆弾があるなんて...





それは、解体作業開始早々に起こった。

「ピカッッッッッッ!!!!!!!」

「「?」」

浴びれば一瞬で蒸発する光があたり一帯を包み込む。第39試験小隊は、2349年に開発された「炸裂圧縮シールド」を展開していた事と痺れを切らし、見学者2人を含め近くとはいえ高機動車に乗車し(逃げ)ていたことが幸いし、光の直撃は免れた。しかし、直視せずともその光は全員の意識を刈り取るには十分だった...











頭がクラクラする...ここは......どこだ?

「ん......くッ...あぁ...」

うめき声とともに、護は目を覚ました。

「頭、痛ぇ...」

突然頭を襲った痛みで護の意識は覚醒した。そして自分と周りの状況を確認する。

俺は誰だ?...俺は 日向 護 日本国陸上自衛隊少年科所属...そして今日、俺たち第39試験小隊は、核爆弾の解体を見学してて...そうだ!!みんなは!?仲間の存在を思い出し、仲間を名を呼ぶ。

「お~い、響ーハカセー橘ー村上ー山口ー田中ー井上ー倉田ー全員生きてるか~?」

ガサガサ...「ッててて...生きてるぞ~。なんとか...」「こっちも...」「大丈夫なの~...」「お~っす」「生きてるわ~...」「異常な~し...」「生きてます~...」「大丈夫っす...隊長はどうっすか?」

とりあえず、全員無事のようだ。

「こっちも大丈夫だ。」

そう言った後 護は立ち上がり、あたりを見渡した。

「ここは?」

「富士の樹海みたいだな...」

横にやって来た響の声にそう答える。

「何が起こったんだ?」

「多分、核爆弾が爆発したんだろう。それで俺たちは、気を失って...」

「でもよ。いくら処理班の奴らが炸裂型圧縮シールドをはってたから爆発はかなり抑えられたとして、そしたら富士の樹海まで飛ばされるのはおかしくないか?何よりそんな距離飛ばされて俺たちが無傷の訳ないと思うんだけど。」

「.........」

そう、響の言う通りなのである。核爆弾の解体時は、「炸裂型圧縮シールド」というものを貼ることが義務付けられている。これにより、爆発は通常の1/180000に抑えられる。しかし、それくらいに抑えられた爆発では、護達を富士の樹海に飛ばす事はまず不可能であり、何より飛ばされたとして、無傷でいられるはずがないのだ。

「...まぁ、とりあえず全員生きてるし、上に報告してくるわ...」

そう響が言い、通信をするために通信機を出したところで、さらに不可解なことが発覚した。

「なんじゃこりゃァァァァぁあああ!!!!!通信機がバラバラじゃねーかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

連絡用の通信機はもちろん、あたりを見渡したらどうやら高機動車の部品とみられる様なものまで全てネジ単位でバラバラになって散乱していた...

どうなってんだ...?と護も感じたが、ひとまずそれを棚に上げることとし幸い支給品の日本刀は無事であったので、近くに見える洞窟の中に、助けが来るまでの陣地を作りだした...



そして、現在に至る訳である。

「それにしてもハカセ、どうやったらそんなに早く組み立てが完了するんだ?」

「みんなも手伝ってくれてたからね...護と響だけに押し付けちゃダメだって。」

「あいつら...」

こんな状態でもみんなが自分たちのことを考えていてくれたことに胸が熱くなる。それでも、ハカセの技術には驚き以外の言葉では言い表せない。ハカセが高機動車などを直したいと言い出したのはつい昨日のことだった。それは、全員がここは日本ではない別の場所であると感じたからである。それから今まで39時間で高機動車、その他の装備の組み立てをやってのけ、挙げ句の果ては89式装甲戦闘車(ライトタイガー)を組み立てている...はっきり言って異常なのだ。

「隊長は、明日から現地偵察でしょ?そろそろ留守番組を起こすよ。」

「サンキュー、じゃあ俺も寝るわ。」

こうして、遭難2日目の1日は終わった。












ー3日目の朝ー

「そんじゃ俺たち行ってくるわ」

「いってらっしゃーい」

「響、留守番組を頼む。」

「お任せ!!」

その声とともに護 を含む4人の隊員は偵察の任務へ取り掛かる。

「全員、乗車!!」

「「「了解!!!!」」」

「高機動車エンジン始動!!」

「エンジン始動します!!」

護の声とともにエンジンが始動し唸りを上げる。そして...

「発進!!!」

その声で、万全の状態の高機動車は、山路を進み出した。

陣地が遠くなる...

口を開ける深い樹海の中に入る...

「隊長...」

「ん?」同じく偵察組の倉田が後部から話しかけてきた。

「いきなりラスボスが出てくるとかないっすよね?」

自分自身を落ち着かせるための質問だと直感し護はニヤッと笑った

「ある訳ないだろ?」

「隊長!出口です!!」

またまた同じく偵察組の井上がそう言った矢先、高機動車は樹海を抜け草原へと足を踏み入れた。

そしてその先に広がるあまりの美しさに少年達は言葉を失った。



見渡す限りの蒼空...

遥か彼方を舞う龍...

眼下に広がる中世を想わせる巨大な街...


少年達がここが異世界だと確信した瞬間、運命の歯車は回り始めた...


ここから少年達の冒険記が始まる...



Destiny ~序章、喪失編~完



To be continued ...

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