序章...少年達は彼の地にて...
...プロローグ...
「ブゥゥゥゥンッッ!!」
刀が、唸る...そして今度は剣と刀がぶち当り、刀が金切り声を上げる...
「ガギンッ!...ギギギギギ...」
一瞬の拮抗の後、
「クッ...ァァアアアッ!!!」
気合を込めた声と共に向こうの剣が砕け散り、相手の鎧ごと叩き切る。
「パキン!...ズバッ!...」
相手が断末魔を上げる余裕も与えぬ位の速さで斬りはらい、向こうはドサッという音と共に地面に倒れこむ。
そしてそれを見た後、腰につけた9mm拳銃の残弾数を確認する。
(相手は12人、弾はあと6発...いける!!!)
そう判断し、狙いを定め引き金を引く。
パン!パン!パン!
1発で2人を確実に撃破していく...
パン!パン!パン!
そして、相手を全て殲滅した。
「ハァ...ハァ...ハァ...」
少年は、疲弊した様子で地面に座り込んだ。
「ハァ...ハァ...こうしちゃいらんねーな...」
そう呟き、仲間の名前を呼ぶ。
「お~い。響~そっちはどーだー?」
すると、崖の上からガサガサという音と共に一人の少年が降りてきた。
「ウッス...こっちもなんとかな...護の方も、ちゃんと生きてるか?」
「ハハハ...俺が死んでたら、ここにいる俺はなんだよ...」
「いや~幽霊様とか?」
「...やめろよな...この世界ならガチでありそうで笑えねぇ...」
「確かに...」
「「ハハハハハハ...ハァ...」」
二人は乾いた笑いを上げたあと、暫く沈黙した。
「なぁ響...。」
「ん?」
「人を殺すって...何時になっても、なれないもんだよな...」
「俺もだよ...でもこれはやっぱり慣れちゃいけないことだと思うし、これが兵士っていう道を選んだ奴らの宿命なんじゃないか?」
「そうだよな...おっしゃ!それじゃ、みんなのいるところに戻りますか。」
「おぅっ!」
護の掛け声に響が続き、二人は山の中腹にある洞窟へと歩き始めた。
「しっかし護、なんでまたこんな夜中にやっこさん達は攻めてきたんだ?」
「そりゃまぁ...俺たちがこんなアホみてぇな服着てるから、弱いと思って金目のもん奪おうとしたんじゃね?」
「まぁ、俺たちを初めて見た奴らだと思うし、そりゃぁ仕方ねぇよな...あ~マジでやめてくれ~徹夜はお肌にわり~ヨー」
「女子かよ...それになんで最後カタコトだよ。でもまぁ、明日にはあいつの整備も終わるしもっと楽になるだろ...これも今夜で終わりだよ。」
「やっとだな!これで、死ぬ危険犯して白兵戦しなくてもいいや。この刀すてよっかなぁ、重いし...」
「よせよ、官品なくしたら始末書だぞ?」
「出す上司がいりぁ俺は喜んで書くぞ?」
「...そうだったな...悪い、不謹慎な冗談だった...」
「いやいやいや別に気にしてねぇよ。」
「そう言ってくれると助かる...」
「...なぁ護...俺たち、もとの世界に帰れんのかな...」
「帰れるさ。絶対...お?着いたぞ。」
「うひょ~本当に治ってやがる!!あんなぶっ壊れてたのによく直せたなぁ?ハカセ?」
「整備科の首席なめんなよ~?」
ハカセと言われた少年がつぶやく。
「それに、壊れてたっていうよりバラバラだったって言った方が正しいからねぇ...どういう仕組みだったんだろ?...」
「まぁ、これで明日から楽できるなぁ。小銃の方はどうだ?」
「こっちも同じだよ。バラバラだっただけだからそんなに難しくなかった。」
「皆んなは、もう寝たんだよな?」
「あぁ。皆んな疲れて真っ先に寝ちゃったよ。」
「んじゃ、当直は護、よろ~」
「オイッ!だからなんで俺だ!?」
「徹夜はお肌にわり~ってさっき言っただろ?」
「だから女子かよ!...ったく、明日のあいつの飯に下剤入れてやる...」
「まぁまぁ、でも毒って言わないあたり優しいよね?」
「.........見回り行くか...」
「いってら~」
その声と2260年から実装され整備が終わったばかりの36式小銃を背中に背負い、日向 護は崖の頂上に登って行った。そして頂上に登ると、月の光が護の着る服に印刷された文字を映し出す。
「日本国陸上自衛隊少年科」と...