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それでも
「…大丈夫かい?」
少女の頭を撫で、レイは尋ねました。
それはとてもとても優しい声色でした。
少女はそっと頷きました。
そんな少女を安心させるように、レイは微笑みました。いつもと同じ、優しい微笑みでした。そんなレイに少女も微笑み返しました。止まらなかった涙もようやく止まり、涙のあとができていました。
「…そうか」
レイは少女の涙の訳に気づいていました。小さな小さな少女。しかし彼女は強い女性でした。どんなに辛くても涙は流しませんでした。そんな彼女をレイはずっと見てきたのです。そしてそんな彼女を愛していたのです。愛する女性の涙の理由なんてすぐに気づきました。
「…旅人さん?」
考え込んだまま動かないレイを心配して少女は声をかけました。
不安そうな彼女の声にレイはハッとしました。
「あ…ああ、すまないね。少し、考え事をしていたみたいだ。」
レイは微笑み、少女の頭を撫でました。
撫でながら思いました。
君と…離れたくない…
たとえ…弟を不幸にしても…