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小さな国々と優しい魔王様  作者: 水澤星香
6/7

旅人、いやレイが出かけてから少女は一人薪を集めていました。

森の夜は冷えます。

薪拾いは少女の日課となっていました。

「これくらいかな。」

たくさんの薪をロープでまとめ、少女は背中に背負いました。

そしてその場を去ろうとした、その時です。

「魔王様はまだ…」

門番の声です。

「っ!?」

いつの間にお城の近くに来てしまっていたのでしょうか。

少女は門番達の会話を聞いてしまいました。

「魔王様はまだ部屋から出てこないのか。」

「ああ。それほどあの少女が好きだったんだろうな…」

「帰ってきてほしいものだ。」

帰ってきてほしい。

その言葉を聞いた少女の瞳から、小さな雫がこぼれ落ちました。

その雫はぽとり、ぽとりと止まりません。

たまらなくなって、少女は駆け出しました。

走って走って、走りました。

薪が溢れようがかまいません。

木の葉で擦りむけようがかまいません。

ただ、この雫が…涙が止まってくれるなら

なんでもいい、その一心で…

「はぁ…はぁ…」

気がつくと、そこはレイのテントでした。

「おかえ…っ!どうしたんだい?!」

少女の姿にレイは驚きました。

そして涙を流す少女を優しくそっと抱きしめました。

「大丈夫。大丈夫だよ。」

そして優しく頭を撫でました。

レイの言葉に落ち着いたのか、少女の涙はようやく止まりました。

ハッとして少女は薪を見ました。

「あっ…薪。…ごめんなさい。」

一生懸命拾った薪は半分程の量になっていました。

しょんぼりする少女にレイは首を振ります。

「大丈夫。君が無事なら、それでいい。」

君さえ無事なら…






















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