旅人
城を出た少女は森の中にいました。
最初は国に帰ろうとした少女でしたが
彼女の小さな小さな体では難しいことでした。
お腹もすいて疲れ果てていた少女。
そんな少女を助けてくれたのは1人の旅人でした。
「可哀想に…僕と一緒にこないかい?」
少女は迷いました。
道中少女は何度も魔物に遭遇しました。
しかし、魔王様が少女にかけた護りのまじないのおかげで少女はここまでこれたのです。
魔王様を忘れることが出来ない少女。
ここで旅人とともに行ってしまっていいのだろうか…少女は迷います。
「大丈夫。怖がることはない。ただ君には休息が必要だ。」
旅人は優しい微笑みで言いました。
とても…とても優しい微笑みでした。
少女は旅人についていくことにしました。
いつまでも魔王様に迷惑をかけてはいけない。
少女は魔王様を忘れ前に進もうと決めました。
それが魔王様の幸せのためならと…
それから旅人は少女に美味しい食事や、服を与えました。
最初は戸惑っていた少女も優しく微笑む旅人に少しずつ心を開いていきました。
「いってきます。」
旅人はいつもどこかへ出掛けていきます。
「いってらっしゃい。」
少女はいつもそれを見送ります。
花のような笑顔を浮かべて。