ただいま
少女がたった1人城をでたとき、
魔王様は隣国からの縁談を断りに行っていました。
「申し訳ありませんが、私にはもう愛する人がいるのです。」
隣国の国々の申し入れに魔王様はそう言いました。
愛する少女を思いながら…
すべての縁談を断り、魔王様は城に帰りました。
愛する人の待っている城に…
「ただいまもどりました。」
嬉しそうに言った魔王様に…
返事はありませんでした。
魔王様は一瞬で全てを悟りました。
ああ…私が留守の間に優しい彼女は出ていってしまったのか…
そして魔王様は笑いました。
悲しくて悲しくて…
悲し過ぎて…
はは…ははははは…
魔王様は笑いながら泣きました。
壊れたように泣きました。
何日も、何日も…
ずっと泣いて、ずっと笑う魔王様。
しかし…ある日突然魔王様の涙がやみました。
ぷつりとでなくなってしまったのです。
悲しくて悲しくて本当に悲しくて涙を流していた魔王様。
涙がでなくなってから魔王様は笑わなくなりました。
「私に逆らうものは始末しろ。」
そして優しい魔王様はもういませんでした。
冷酷で冷たい魔王様に皆怯えます。
そして皆気づいたのです。魔王様がどんなに少女を愛していたのかを…