浩
茜の恋人である浩は茜を探していた。茜は失踪届が出されたが、部屋が荒らされていないことから、事件性は低いと警察は本気では探してくれない。こうなったら自分だけでも茜を探そうと考えていた。
そして、浩は茜の家に毎日通っていた。茜がいなくなってから一月あまり。浩も疲れてきた。
月が明るい夜、浩は茜の近所の公園にやって来た。
このはよく茜が来ていたんだよな。まさかここにはいないよな。
浩は公園のベンチに腰を下ろして、月を見上げた。
「茜、どこへ行ったんだよ……」
思わず浩の口から言葉が漏れた。それを聞きつけたのが茜である。猫になってから、聴覚が鋭くなっていたのだ。
今の声は、浩!?
行かなきゃ!
茜は飛び出した。
「茜!」
後ろで虎が叫んでいるが、茜は声のした方へ走っていった。
そこにはぼうっと空を見上げる浩がいた。茜は思わず駆け寄った。
浩!
「にゃー」
言葉が出ない。茜はもどかしさを感じながら、浩の前に出た。
「猫か。そういえば茜は猫が好きだったな。おいで」
浩!私だよ!
「にゃー」
やはり茜の口から出るのは猫の鳴き声だ。
「可愛いな。野良猫にしては綺麗だな。白猫か……。茜にぴったりだな」
浩!
「にゃー」
「茜、愛してる」
浩が言葉を発したそのときだった。茜の体が輝き出した。浩は眩しさから目を閉じた。猫を抱いていたはずなのに、段々と重みが増していく。
浩が次に目を開けた時には、茜が膝の上にいた。
「茜!」
「浩!あ、声が出る!浩、浩!会いたかった!」
「茜!どこにいたんだよ!ってか何で裸!?」
その言葉に初めて茜は自分を見下ろした。
「きゃあ!」
浩はコートを脱ぐと茜に着せた。
「どういうことなんだ?」
「長い話になるわ」




