特訓②
「じゃあ次だ」
虎は事も無げに言った。
「……次って?」
「今度は足蹴りだ」
「足蹴り~?必要なの?」
「押し倒された時に必要だぞ」
「それは必要ね!」
茜は虎の言うことに従うことにした。ここは猫社会。郷に入っては郷に従えである。
「まずは仰向けになる。それから相手を狙って足蹴りを繰り出すんだ。これは速さが求められる」
まずは虎が見本を見せてくれることになった。虎は仰向けになり、足蹴りを繰り出した。凄い速さで空を切る。足蹴りをする度に、ひゅっひゅっと音がする。
「わかったか?」
「う、うん。やってみる」
茜は仰向けになると、足蹴りを繰り出した。しかし、虎のように早くは出来ない。またも「ふよん」とした足蹴りだった。
「これも毎日50回だな」
「ええ~?」
「お前が襲われないためだぞ。いざとなったら自衛しなくちゃなんねえからな」
虎の言うことにも一理ある。こうして茜は高校の運動部のようなことをする羽目になった。
ああ、何故こんなことに……。
茜は必死で足蹴りを繰り出すのだった。
「最後は技のコラボだ。猫パンチと足蹴りを一緒にやるんだ」
茜はもう腹を括った。
「わかった。やってみる」
茜は必死で足蹴りと猫パンチを繰り出した。なんとか50回のノルマを達成する頃には、すっかり疲れきっていた。
「あとは体力だな。毎日公園の中を3往復走るんだ」
「……」
茜はもう答えられないほど疲れていた。運動不足がこんなところで困ることになるとは、茜も考えていなかった。しかし、昨日のようなことを避けるため、茜は毎日の特訓に励むのだった。




