新武器・支給
別視点にしてみました
「おい、俺たちの部隊に新しい武器が支給されるって、知ってるか?」
そう、話しかけてきたのは俺の親友である、ニコラス・シュートだ。こいつとは学園のころからの付き合いだ。
「で?いつもの剣なんだろ?」
「いやいや、これがなんと新しいマジックアイテムなんだってよ!」
「なんだって?」
結構驚いた。普通武器が支給されると言われたら、今使ってる軍に正式採用されてる武器のことを指す。それにマジックアイテムは高価で簡単に手には入る物ではないはずなんだが・・・。
「さらに、大型の物だ、って噂だぜ?たのしみだな~!」
「大型?大剣とかか?でも大きかったら振り回す前に魔物に、やられちまうんじゃねえのか。」
確かに大型の武器は基本攻撃力は高い。だがそれは振れてはじめて威力を発揮するものだ。ましてや当たらなければただのお荷物だ。だから軍では直剣を採用しているのだ。
「う~ん、それもそうだな。でも気になるなぁ。」
こいつの武器好きには困ったものだ。こいつと街を歩くと目的地までの道のりにある、すべての武器屋に寄ろうとするんだ。それで気に入った物があれば買ってきてしまうし。
「武器の支給に来ました。」
お、来たみたいだ。
「まってましたぁぁぁぁぁぁ!?」
ん、なんだ、どうしたんだ?歓声と驚愕の声を同時にあげるなんてなんて器用な奴なんだ。
「全くうるさいや・・・つ?」
そこにいたのはちょっと小柄で、長い黒髪に同じく黒い瞳の美少女が大きい荷車を押しながら立っていた。
「あの、武器の、支給に来たんですけど・・・。」
ハッ!いかん、すこし見とれていた。それにしても可愛い・・・。
「ああ、武器の支給ね。ご苦労、そして俺と結婚してくれ。」
なっ!告白とかそんなのすっ飛ばしていきなり結婚だと!?な、なんて勇気のある奴なんだ・・・。
「ごめんなさい。」
あ、撃沈した。じゃない、武器の支給に来たんだっけこの娘。
「とりあえず、武器の支給ご苦労様。さっそく使ってみるよ。」
労いの言葉を入れつつちょっとはにかむ。・・・いや、まじでストライクなんだよ。文句あるかぁぁ!
「あ、この武器について説明があります。説明するのでみなさんを集めてください。(ニコッ)」
ぐはぁぁぁぁぁ!!まずい、いままで戦ってきたモノより桁違いに強い!?り、理性が!だ、だがここで獣になってしまえば彼女とのこれからのあまいあまーい生活が・・・。耐えろ、耐えるんだ!俺なら耐えれる!うおおおお!
「あ、ああ。すぐ、呼んでくる・・・。」
耐えたあああぁぁぁ!いやまて落ち着け。深呼吸だ、焦ってはことを仕損じる。ゆっくりだ。ゆっくりで良いから歩け。そして皆をよぶんだ。ごく自然に!
~1時間後~
「皆を連れてきたぞ。」
よし、時間は食ったが、だいぶ落ち着いたぞ。
「遅かったですね。・・・メイワクでしたか?」
ああっ、そんな申し訳ない顔しないでくれ!全然!まったくもってメイワクじゃないから!
「いや、そんなこ「おいなんだこの娘。」とは「やっべえ、可愛い・・・。」ないぞ。」
「・・・・・・。」
おまえ等なんてことを!せっかくの俺の台詞が!
「と、とりあえず説明をします。まずは武器を見てもらいます。えっと、ニコラスさん、手に取ってみてください。」
そう言われたニコラスは荷車にかかっていた布を剥いだ。
「な、なんだ、これ・・・。大剣?大きすぎるな・・・。」
「ニコラスさん、どうぞ手にとって見てください。」
黒髪の少女に促される。
「ああ。・・・・・・軽い・・・おい、これ軽いぞ!」
「大剣なのに軽い?そりゃあどういうことだ?」
仲間の一人が訊く。確かに大剣なのに軽いというのはおかしい。
「この武器の名前は『ドラゴンブレス』といって、能力は・・・後で説明しますね。まずはなぜこの大剣が軽いのかを説明します。」
みんな少女の言葉に耳を傾ける。
「軽い理由は、使用している金属にあります。使用した金属は『ライオート鉱石』この世界で一番軽い鉱石です。」
その名前は知っている。その軽さから装飾品等に多く使われているが・・・。
「なあ、でもその鉱石だとその大剣、すぐ壊れるんじゃないのか?」
ライオート鉱石は軽いが、とても脆く壊れやすい。なので剣の刀身に使うなんてあり得ないんだが。
「その疑問はもっともです。なので私は、これを硬くしました。」
硬くした?まるで自分が作ったかのような口振りだな。・・・自分が作った?まさかこの娘まさか!
「私はマジックアイテムを作ることが出来るんです。」
以外だ。もし彼女がそうなら、納得がいく。マジックアイテムを作れる人間は、物に魔法を刻み込むことが出来る。例えば所持者の身体能力をあげたり、斬撃をとばしたり、それは様々だ。
「この剣には強度強化、所持者の身体能力上昇、そして特殊攻撃です。」
「そんなについてるのかこの大剣には!?」
ニコラスが大剣をまじまじとみる。たしかにそんだけ能力が付いているなんて、そんなのもう宝剣か魔剣レベルだぞ。いったい何者なんだこの子は。
「特殊攻撃とは?」
別の仲間が質問する。これは俺も気になる。
「この剣には『斬った対象を燃やし尽くす』効果のある炎が出せます。」
「まじで!?」
「はい、まじです。ちょっとあそこになぜか案山子があるので試しに斬ってみてください。」
「お、おう。」
ニコラスが2mはあろう大剣を『正眼』でかまえる。・・・ん?なんか違和感が。もっとよく見てみよう。ニコラスが、大剣を、普通の騎士剣と同じように、構えてる。
「「「そんなに軽いの!?」」」
どうしてかみんな同じ言葉が出た。
そうしてる間にニコラスが案山子を袈裟掛けに斬る。早い!いつもみるニコライの剣筋じゃない!ニコライもびっくりしてるようだ。
「みなさん、案山子を見てください。」
そういわれて全員が案山子を見る。案山子は二つに分かれ、炎に飲まれていた。
「おお・・・。」
思わず声がでる。試しに魔法で水をかけて消火してみる。が、逆に水が炎に振れたとたん蒸発してしまった。なるほど、たしかに凄い。凄すぎる。これがあればここの戦闘もすぐに終わる!
「説明は以上です。では私はここで。」
少女が去ろうとする。
「あ、まって。君の名前は?」
これだけは訊いておきたい!
「・・・サニア・ロード、と申します。ではこんどこそこれで。」
「ああ、じゃあ・・・。」
サニア・ロード。サニアちゃんかぁ。また会えるかな。まだみんなは武器を見ているし、ちょっとだけリード、だよな。
サニアが男だと気がつかないまま夜の帳が訪れた。その夜、サニアが実は男なんだと聞かされた面々はショックのあまり食事に手が着かなかったという・・・。
今回は別視点でした。どうでしょうか?軍のとある部隊のオバカさんでした。
すこし補足。本編では軍、騎士などちょこちょこ変わった感じで表現してますが、同じことを指します。軍といえば騎士団、騎士団といえば軍、みたいな。あと語り部の彼の名前は決まってません。募集してます。
わからないところ、意見感想ありましたらガンガン言ってください。バネにしてがんばりたいと思います。