産まれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーんってやつ
気がついたら俺は誰かに抱かれていた。
「奥さん、男の子ですよ。」
奥さん?そういえばあの変態が、幼児スタートって言ってたな。ということは今俺、赤ちゃん?
「ええ、ええ。・・・まあ。可愛らしい・・・。」
そうか?俺から言わせれば赤ん坊なんてぱっと見、猿みたいな顔してるしみんな似たような顔だろ。それにしても今俺を抱いてるのが俺の母親か。いつか読んだ小説では見た目が若すぎる~っていう展開をみたんだが、やっぱ現実にはそんなのなかったな。
「・・・ねえ、どうしてこの子は産声をあげないの?」
「そ、そういわれるとそうですね・・・。」
・・・俺もいま気がついた。そっか赤ん坊は産まれてすぐ泣く、って教わったな、学校の家庭科で。よし、今後のためちょっとだけ泣いてやるか。
「お、ぎゃああぁぁ・・・あうあう・・・。」
「あ、ほら、今ちょっと泣きましたよ!大丈夫です、どこも変な所なんてありませんよ!」
「う、ううぅ・・・よかったあぁ。」
恥ずかしい。そして母よ。あんた今いくつだ。
それから俺は周りを見ようとしたが首が動かなかったのと、おそらく赤ん坊の脳のキャパを越えてしまったんだろう、急激に眠くなってきてしまい、俺は、その眠気に押されるまま意識を手放した。
~1年とちょっと~
1歳になった。
今まではどこにでもいる赤ん坊みたいに食っちゃ寝食っちゃ寝していた。やっぱり幼児は脳が弱いんだなと途切れ途切れの意識で思ってたりもした。
だが今はもう1歳。まだ赤ん坊ではあるがそれなりに意識がはっきりしてきている。おかげでいくつかわかったことがある。
1つ。メリトーンとは今俺が住んでいる国の名前だった。もちろん地球にはそんな国は無かったので、ここは地球ではないどこか、ということになる。
2つ。言語は日本語。これは正直助かった。別世界だと分かったときはメッチャ焦ったが、まてよそういえば母親とか父親とか普通に日本語だったよな、って気がついたときは、ホッ、って息をついた。あ、文字は違った。なんか甲骨文字みたいだった。
3つ。俺の名前。サニア・ロード。ロードが名字でサニアが名前だ。俺は最初サニアとか女みたいな名前イヤだ!っておもっていたらある時母が、「あなたの名前はね、太陽のような明るいモノがいつも近くにありますように、って願いがこめられているのよ?」って説明してくれた。これには素直に感動した。そんないい名前をくれたんだなって。だからその後母がボソッって言った「名前で女の子みたいにならないかしら・・・。」って呟きは気のせいだと、今は思っている。
「くしゅん!」
・・・気のせいだ。
そして最後。兄と姉がいる。この二人は双子で3歳離れている。こいつらは年相応の笑顔やら遊びとかをしている、ほんとの子供だ。俺なんてもう何年か経てば二十歳に行くというのに・・・。
こほん。今のところは何もせずベビーライフを楽しむことにしている。だっていきなり1歳の赤ん坊が「俺、明日から母乳卒業するわ(キリッ)」とかやったら即病院モノだな。いやこの世界だと魔法で検査か・・・。あ、魔法っていうのはみんなが想像するやつで間違ってない。メ○、からはじまって、メ○ミ、メラ○ーマみたいに段階もある。まあ、魔法は追々説明するって方向で。
「サ~ニア~!おねんねのおじかんでちゅよ~」
ん、母・・・マリア・ロードがはいってきた。
「はーい今日はこの絵本を読みますよー?」
「う!あいあ!(ん、わかった)」
こうして俺の赤ちゃんライフは過ぎていった。
次は5歳です。意見感想などありましたら遠慮なくお申し付けください