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囚われ

誰にも見つかることなく颯妃は神殿に入り込んでいた。


どこだろう、優奈は


探し回り、庭に出てしまった


困ったように辺りを見回すと


なんと優奈らしき人影がこちらに歩いて来たのだ。


喜んで駆け寄ろうとして、そこで優奈が一人じゃない事に気付く。


慌てて近くにある物陰に隠れる。


話し声が段々と聞こえてきた。


「魔族達が現れる確率が上がってきました」


「ではそろそろ私達が出ないといけないんですのね」


この声はまさか


恐る恐る覗けば、そこには優奈は


第三皇子だかのグレイ


魔術師のリーフと言う女性


それに私の目の光を奪ったマルス


が寄り添っていた。


まるで最初からこの世界にずっと側にいたかのような雰囲気の優奈の三人との親密さ


目眩がした。


身体が震える。


凍り付いたように颯妃は四人の会話を聞いている。


「世界を守るために、ユーナあなたの力が必要なんですよ」


はにかんだ優奈


いや、彼女は私が知ってる優奈じゃないユーナだ。


いつも自分の後ろに隠れていた優奈はもう居ない。


そう悟った瞬間、世界は深い闇に絡み取られた。


呆然としている間に、ユーナはすでにどこかにいなくなり、こちらにマルス達がやって来る。


逃げないと、心が警鐘を鳴らすが身体は言う事は効かず


その場に座り込んでしまった。


「!誰だ、そこにいるのは」


颯妃に気付いたマルスが剣を抜き駆け寄ってきた。


動けず、そのままマルスに剣を突き付けられる。


「お前はっ」


どうやら颯妃であることを視認したようだ。


そして次の瞬間、冷たく殺意に満ちた表情で笑った。


「ちょうど良い。始末出来ないか考えていたところに、罪を犯してくれるとは」


剣の腹で颯妃の顔を仰向かせ、


「これで後腐れもなく、ユーナ様も納得されてお前の死刑を許可して下さるだろう」


楽しげに目を細め


「聖域に何人たりと入る事を許されていないんだ。そこに侵入したんだお前は」


「衛兵、こいつを牢に繋げ


罪人だ。」


声を上げた瞬間、幾人もの衛兵が現れ


颯妃を乱暴に縄で縛り上げ、引っ張った。


訳が分からない。


死刑?なにそれ


私はただ優奈に会いに来ただけだ。


何故だ?なんでこんなにも嫌われなければいけない


胸の奥底から言い知れない思いが込み上げて来た。


だからそれを口にしようと息を吸い込んだが


思い切り引っ張られ地面に叩きつけられ、意識が遠退いていった。



だから次に目覚めてから考えた。


ああ、そうか


用意が良いのは当たり前か。


初めからこうするつもりだったんだな?


罪を被せてそうまでして私を亡き者にしたかったのか


翌日になり、日が燦々と輝く目の前の光景にもう驚きはしない


「最後に何かありますか?」


そう助けてようともせず、優奈が私に言葉を促す。


「この世界など消えてしまえばいい」


だからずっと思っていたことを口にした。


「貴様、ユーナ様の温情で白氷の刑に減刑されたと言うのに」


偉そうに言うマルスはうるさいとしか思えない。


優奈が首を振ると皆、頷き颯妃を押さえ付けた。


「これより白氷の刑を執行する」


リーフが軽やかな音階を刻みながら呪文が唱えられる。


耳障りな音とともに颯妃の足から氷が覆い出した。


名の通り、この刑は対象者を氷漬けにするものだ。



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