フキの森の猫専門商店
僕はコロボックル。
街はずれのフキの森の中で猫相手に商売をしている。
猫のキタジマ♂さんがやって来た。
「どうしました?」
「1週間ぐらい人間に変身したいのだが、大丈夫かにゃ」
「1週間マックスプランですね。大丈夫ですよ」
僕はキタジマさんを、フキの森の奥に案内した。
数分後、フキの森の奥の方で、何かが立ち上がった。
多分、キタジマさんだ。
その日の夕方、猫のミナミシマ♀さんがやって来た。
「どうしました?」
「1週間ぐらい人間に変身したいのだが、大丈夫かにゃ」
「1週間マックスプランですね。大丈夫ですよ」
僕はミナミシマさんを、フキの森の奥に案内した。
数分後、フキの森の奥の方で、何かが立ち上がった。
多分、ミナミノシマさんだ。
1週間後、1週間マックスプランを終えたキタジマさんは、泣いていた。
「どうしました?」
「愛しい人がもうあなたとは会えないって、大好きだって告げたのに、理由を聞いても教えてくれないんだ。俺が何か悪い事でもしたのかな?凄く同じ匂いがして心地よかったのに」
凄く同じ匂いがして心地よかった?
まあなんとなく理解できたが、僕は
「人間も猫も、色んな事情がありますからね」
と言葉を濁した。個人情報は言えないし。
その日の夕方、1週間マックスプランを終えたミナミシマさんも、泣いていた。
「どうしました?」
「好きな人に別れを告げてきた。わたし猫でしょ。人とは付き合えない。お互いのためにも。凄く同じ匂いがして心地よかったのに」
「悲しい事実ですね」
僕は言葉を濁した。
「でも楽しかった」
ミナミシマさんは、そう言って帰って行った。
後日、2匹の猫を街で見かけた。
軽く挨拶はしていたけど、それ以上はないように思えた。
完




