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フキの森の猫専門商店

作者: 健野屋文乃
掲載日:2026/09/24

僕はコロボックル。

街はずれのフキの森の中で猫相手に商売をしている。

猫のキタジマ♂さんがやって来た。


「どうしました?」

「1週間ぐらい人間に変身したいのだが、大丈夫かにゃ」

「1週間マックスプランですね。大丈夫ですよ」


僕はキタジマさんを、フキの森の奥に案内した。

数分後、フキの森の奥の方で、何かが立ち上がった。

多分、キタジマさんだ。


その日の夕方、猫のミナミシマ♀さんがやって来た。


「どうしました?」

「1週間ぐらい人間に変身したいのだが、大丈夫かにゃ」

「1週間マックスプランですね。大丈夫ですよ」


僕はミナミシマさんを、フキの森の奥に案内した。

数分後、フキの森の奥の方で、何かが立ち上がった。

多分、ミナミノシマさんだ。



1週間後、1週間マックスプランを終えたキタジマさんは、泣いていた。

「どうしました?」

「愛しい人がもうあなたとは会えないって、大好きだって告げたのに、理由を聞いても教えてくれないんだ。俺が何か悪い事でもしたのかな?凄く同じ匂いがして心地よかったのに」


凄く同じ匂いがして心地よかった?

まあなんとなく理解できたが、僕は

「人間も猫も、色んな事情がありますからね」

と言葉を濁した。個人情報は言えないし。


その日の夕方、1週間マックスプランを終えたミナミシマさんも、泣いていた。

「どうしました?」

「好きな人に別れを告げてきた。わたし猫でしょ。人とは付き合えない。お互いのためにも。凄く同じ匂いがして心地よかったのに」

「悲しい事実ですね」

僕は言葉を濁した。


「でも楽しかった」

ミナミシマさんは、そう言って帰って行った。


後日、2匹の猫を街で見かけた。

軽く挨拶はしていたけど、それ以上はないように思えた。




完




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