第6話:敗因
「オラァ!」
「毒霧」
シロナとマナが総攻撃を仕掛ける。
(シロナさんは武器を使わずに、正面特攻で拳で戦う戦闘スタイル。マナさんは魔法で後ろからシロナさんのサポート。あの二人は相性がいい…ならば、まずは片方を倒し1VS1の状況に持っていくのが最善策。)
「はぁぁぁ!!!!旋風拳!!」
「隙だらけです」
グサッ
「がはっ…」
「あら、ナイフで急所を刺して、シロナさんを殺す気なの?」
「いいえ、この試合で殺人は許されない行為です、なので浅めに刺しました。もし殺人を行った場合、失格となってしまいます。その事はマナさんもご存知だと」
「ええそうね、私もそのことぐらい知っているわ。でも、戦いの途中でよそ見は厳禁よ、メイドさん?」
「烈火拳!!」
ドサッ
「へへっ、こっちも急所狙ってやったぜ。さすがにこれで倒し…」
「あなたも油断しすぎです」
「なっ!?」
ナナがシロナに蹴りを何発もいれる。
「はぁ…はぁ…立てねぇ…」
「んもう…シロナさんは私より強いはずなのに、先に倒されちゃったじゃない」
「いえ、それはおかしいです。マナさん、あなたの方が圧倒的に実力が上のように感じます」
「へぇ…わかるのね?なら話は早いわ、とっとと終わらせましょう。私はあなたよりも格上…始めから分かっていたことなのよ、私が優勝するってね!!漆黒の稲妻!!」
シュンッ
ナナが稲妻を避ける。
「あまり魔法は使いたくないのですが…仕方ありません、剣の雨!」
空から無数の剣がマナを襲う。
「ふふっ、面白い魔法ね。でも当たらないわ…防御!」
マナは防御で攻撃を凌ぐ。
「その防御魔法は、物理攻撃や魔法攻撃を完全に遮断する優れた魔法ですね」
「そうなの、この防御はね、一般人が使うと攻撃を防ぎきれないのよ、まだ魔法の熟練度が甘すぎて。」
「そうですか…」
ビュンッ
「あら、急にナイフを投げてどうしたの?当たるわけないじゃない」
「複製」
ボワン
突然、ナナが投げたナイフが50本程に増えた。
「ッ…!?」
シュババババババババババ
たくさんのナイフがマナを襲う
シュンッ
それをマナは華麗に避けてみせる。
「…上級魔法の複製を使える人、今まで見たことないわ…」
「それはとても光栄です」
ビュン
ナナは再び、ナイフをマナに向かって投げた。
「複製、転移」
(合わせ技?そんなことして何をするのかしら…)
ボワン
シュンッ
(ナイフが消えた?)
「あなた、今何を…」
グサッ…グサササササ
「うぐっ…」
「まず、投げたナイフを複製で増やして、転移でマナさんの背後に移動させ、刺しました。あなたの敗因は、目の前にいる私のことを警戒しすぎたことです。」
「ふふっ…素晴らしいわ…あなた強いのね」
「お褒めの言葉、ありがとうございます」
「降参よ…」
「勝者が決まりました!!!勝者は…ナナさんです!!!」
観客席から歓喜の声が巻き起こる。
こうして私は、最強になった。
序章[完]