第4話:雷鳴
「とうっ!」
ドナートがマナに剣を振りかざす
「ふふっ、遅すぎるわ」
「くっ、速いっ…全ての攻撃が避けられる…」
「ごめんなさいね〜、私はつまらない戦いはあまり好みじゃないのよ。手短に終わらせたいから、あなたの必殺技的なの見せてくれる?」
「そう言うんだったら、お望みの通り見せてやるよ」
そう言うとドナートは剣を空に突きつけた。
「聖なる剣!!」
ドカーン!!
一瞬にして闘技場が光に包まれた。
「どうだ…甘く見てただろ…」
「そうね、でも私は倒せなかったようね」
ドナートは驚いたような顔をしたまま、立ち尽くしていた。
「それじゃあ私もそろそろ攻撃させてもらうわね」
マナから魔力が出力される
「漆黒の稲妻」
チュドーン!!
凄まじい轟音が響き渡り、黒い稲妻がドナートを直撃する。
「ドナート様!!」
ナナがドナートの元に駆けつける。
「大丈夫よ、威力は死なない程度に抑えたから」
どうやらマナはわざと攻撃を少しずらし、魔力も控えめに出力していたそうだ。
「無事なら良かったです…」
ナナは安堵し、息を吐いた。
「第1回戦はマナさんの勝利です!!」
アナウンスが流れ、ナナとドナートは観客席に戻る。
「ドナート様、あのマナという魔女は相当強い魔力を持っております、ドナート様でも敵わない程の相手だったのですか?」
「ああ、あの女は戦闘狂だ。人生の大半、魔法を極め続け戦いだけを求めている」
「あの方と早く戦ってみたいです、なので初戦はできるだけ早く終わらせるように頑張ってきます!」
そしてナナ達は、ガストとの試合まで休憩することにした。
~1時間後~
「それでは第5回戦へと参ります!参加者の方は中央へお願いします!」
「それでは行ってまいります」
「頑張れよ、ナナ。俺の見立てだとガストはマナ程の実力は無いはずだ、だが油断はするなよ」
「ご心配ありがとうございます」
ナナは中央に行き、ガストと目を合わせた。
「容赦はしないぞ、姉ちゃん」
「はい、臨むところです」
「それでは第5回戦…始め!」
「うぉぉぉ!!」
ガストがナナに襲いかかろうとした、その時だった。
「ぐはっ!」
バタン
突然ガストが倒れたのだ。
「え、どうなってんだ?」
「今何が起きたんだよ!」
観客席から声が上がる。
「え、えっと…何が起きたのか分かりませんが…ガストさんが戦闘不能になりましたので!ナナさんの勝利です!」
ナナは何事も無かったかのように、ドナートがいる席へと戻って行った。