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天狼の竜魔導機兵/転生先が死後発売されたRPGリメイク版  作者: 鳴無 啓悟
767年 七夜の節:ようこそ、異世界へ
3/10

ある少年の目覚め/転生システム不具合のお知らせ

___________________________________________

▽実績『チュートリアル開始』により、

 対象者の前世情報が一部公開されました。




リメイク版『ドラグーンズ アクシアⅦ』 とは


 『Re:turn of DRAGOON'S AXIA Ⅶ』(リターン オブ ドラグーンズ アクシア セブン)とは、オーテ・ボーシャより202X年XX月XX日に発売された戦略RPGで、『ドラグーンズ アクシアⅦ』のリメイク版である。リメイク版シリーズタイトルは全て『Re:~』から始めるのは変わらない。

 原作『ドラグーンズ アクシアⅦ』(略称:ドラアクⅦ、DA7など)、『ドラグーンズ アクシア シリーズ』の7作品目であり、トウサン社より199X年XX月XX日に発売された戦略RPGゲームである。(中略)原作・リメイク版ともに作中に登場するドラグーンは■■■■■■■■■■■を指す。


【概要】

 198X年XX月に発売された、『ドラグーンズ アクシア』(略称:ドラアク無印、初代など)から始まる『ドラグーンズ アクシア シリーズ』の7作品目。200X年にトウサン社が倒産しオーテ・ボーシャに吸収された経緯から、当時の開発スタッフを集め最新技術を導入、復活を望むファンの声に応えて企画されたリメイク作である。


【ストーリー】

 傭兵団の見習いである主人公ロラン(男主人公選択時のデフォルトネーム)は、公国が集う地方、浮島連合の辺境地にある”ナヴィガトリア アカデミー”に入学。そこで出会う■■■■王国の王子、■■■■帝国の竜騎士たちと交流し、やがて様々な事件に巻き込まれていく。(中略)傭兵団に戻るか、ギルドに加入して学友とともに旅立つか。主人公は選択の時に迫られる。※gamikipediaより一部抜粋

___________________________________________


「そもそも、異世界転生って何?」


  移動しはじめた俺は情報を求める。何も知らないまま歩くのは、ちょっと…かなり危険だ。少しでも異世界で役に立ちそうな情報が欲しい。当たり障りのない話題から少しずつ…少しずつ。神様たちから話を引き出そう。


〇ぴょん吉❘死後、その魂が別次元に飛ばされることだな

〇ぴょん吉❘ポイントは別の世界線に飛ばされること

〇ぴょん吉❘もといた世界と同じじゃ、ただの転生

「へー…」

〇お揚げ君❘もしかして転生モノに詳しくない?

〇お揚げ君❘生前ラノベとか読んでないの?

「どうだろ…わかんないや」

〇お揚げ君❘まあ異世界転生者のやることといえば

〇お揚げ君❘生前やれなかったことやったり、

〇お揚げ君❘人によって悪逆非道に生きる転生者もいる

「ええ…何で悪いことすんの?理解できん」

〇お揚げ君❘人間、理性的とはいえ欲に素直だからな

〇わんわん❘修学旅行先ではっちゃけるような?

〇お揚げ君❘海外旅行で人目も気にせず騒ぐ的な

「なる…ほど…?」


  ”生前の俺”に関する記憶が抜けてるから分からん


「みんな同じ異世界に飛ばされるのか?」

〇ぴょん吉❘いやランダム制

〇お揚げ君❘他の世界線は乙女ゲームだったり

〇七つの子❘小説だったり色々あるよ

〇七つの子❘ここではゲーム世界に飛ばされやすい

「どういう、こと…よいしょっと」


  大きな岩が転がる道に差し掛かり、それによじ登りながら進む。


〇わんわん❘マルチバースって知ってる?

〇猫ですよ❘無数の世界が幾つも同時に存在している、ってやつ

〇七つの子❘縦が世界線、横が時間軸。それが無数に広がる感じ

「……でっかい布、みたいな?」

〇七つの子❘そんな感じ

〇わんわん❘縦線と横線が交差した箇所が現在、

〇わんわん❘それが縦にも横にも無限に広がっている


  現在だったもの、現在、これから現在に位置するもの。過去、今、未来。それは時間の経過とともに変わっていく。そして横に広がるのは無数の分岐点。俺の思考、行動。いくつもの「もしも、違う言動を選んでいたら」が続くifの世界。何を選んだのか、対象者が何処の世界線で生きていたのか。そういった条件で転生先が変わるらしい。


〇猫ですよ❘そもそも転生って言っても、魂の選定だし

「魂の選定…?」

〇わんわん❘本来、対象者の来世は同じ世界線に飛ばすんだか

〇猫ですよ❘善人と悪人の見分け方、難しくてさ

〇七つの子❘だから異世界での活躍…どういう生涯を送ったかで審査するのさ

「えー…それ、ちょっと回りくどくない?」

〇わんわん❘仕方ねえだろ、何処も魂が満員だし

〇お揚げ君❘現世の事故発生件数も自殺率もヤバいから何処も彼処もヤバい

〇七つの子❘賽の河原システムもアプデ来たしな

「いきなりパワーワードぶち込んでこないで」


  賽の河原ってアレだろ?永遠に石を積み上げ続けるやつ。巡回中の鬼が何度も倒しに来るからゴールが遠退き、邪魔されながらも延々と石を積み続けるやつだろ?どういうアップデートされたんだよ…


「…つまり、1人当たりにかける選定の期間を長引かせて…?」

〇ぴょん吉❘そうそう、待機時間を稼いでいる訳

〇わんわん❘ついでに俺らの神々の暇つぶしになる訳


  おい神、おい神様ちょっと


「文字の人達、神様だったの!!?」

〇七つの子❘えっ、今!?

〇猫ですよ❘ただのリスナーだと思ってた?

「神様なら俺の記憶、元に戻せるよな!!?」

〇ぴょん吉❘担当部署が違うんで

〇わんわん❘俺は受け入れ担当だし

〇猫ですよ❘すまん記憶に関しては専門外

〇お揚げ君❘そこになければないですね

〇七つの子❘違う神に言って


  神様って万能じゃないのかよ!!!??


「えー…記憶も戻せないとか…神様って、たいしたことないじゃん」

〇七つの子❘おう、お門違いだぞ

〇わんわん❘あんちゃんが言っているのはな、

〇わんわん❘魚屋にケーキ売れと言ってるような

〇わんわん❘無茶ぶりだからな??

〇お揚げ君❘人間って本当そういうところだぞ

〇お揚げ君❘何でもかんでも神のせいにするなよ

〇お揚げ君❘自業自得の死因を神の手違いとか

〇お揚げ君❘ほざきやがる下等生物どもが

〇ぴょん吉❘こらこら当たるな当たるな

〇猫ですよ❘持ち場の鬱憤ここで発散すんなよ


  う…今のは流石に失言だったか。文字を読んだだけなのに悪寒が酷い。どっと汗が出て足がガクガク震えている。本当に神様なんだ。


「……ごめんなさい」

〇わんわん❘気にすんな

〇わんわん❘記憶喪失で不安なんだから

〇お揚げ君❘こっちも当たって悪かったな

〇猫ですよ❘まあ能力特化すぎなのは事実

〇猫ですよ❘記憶の復元が専門外なんだ


  じゃあ何で俺の記憶は欠けているんだろう…


〇ぴょん吉❘何の記憶が抜けてんだ?

「え?俺に関する記憶だけど…」

〇わんわん❘年齢・性別・死因…普通なら全部覚えてる

〇わんわん❘はずなんだが おかしいな

〇ぴょん吉❘お前の管轄だろうだよぉ?

〇わんわん❘DLした時不具合なかったんだがぁ?

〇ぴょん吉❘そっちの不手際じゃねえのか?あ?

〇わんわん❘なんだとテメー、やんのか?

「待って待って」

〇猫ですよ❘あんちゃん、分かりやすくいうとな

〇猫ですよ❘魂はデータ、入れ物がUSBみたいなもん

〇猫ですよ❘前世の世界→異世界に魂が移動する時、

〇猫ですよ❘何らかの原因でデータが欠けたっぽいんだ

〇七つの子❘あんちゃんの前世の世界担当から

〇七つの子❘こっちの異世界担当の神が魂の受け入れる

〇七つの子❘多分そのデータ送信中か後で事故ったな


  それ、神同士のやりとりなら。やっぱり神様(そっち)の不手際じゃね…?


「神様たちって、何してんの?」

〇猫ですよ❘働いてますが?

〇ぴょん吉❘本来の役目は果たせてないけど

〇わんわん❘働いてますが??

「あ、うん。それは分かってる」


  そういうことじゃなくて


〇猫ですよ❘何でリスナーやってるかって?

「そう、それ」

〇猫ですよ❘転生者の行動を記録するためだよ

〇猫ですよ❘さっきも説明されたけど、元の世界線

〇猫ですよ❘つまり前世の世界に転生するまでの間

〇猫ですよ❘異世界での人生で、対象が何をしたのか

〇猫ですよ❘どういう功績を残したでジャッジする

「…?」

〇わんわん❘ちゃんとゲームクリアしたのか

〇猫ですよ❘どれくらい実績を解放したのか

〇七つの子❘どれほど悪行に手を染めたのか

〇ぴょん吉❘総合評価で次回の人生チャートが決まる

〇お揚げ君❘これが新しい転生システム

「へー…ゲームクリアまでの内容で決まるのか」

〇ぴょん吉❘俺らは転生者の行動を監視する仕事

〇お揚げ君❘RTA式で最速クリア目指してもいいし、

〇猫ですよ❘じっくりプレイして天寿全うもOK

「……そこまで教えていいの?」


  公平性が欠けるというか、ズルしてる気分なんだけど


〇お揚げ君❘何が起きるのか分からないのが人生だから

〇わんわん❘あんちゃんも、破滅まっしぐらかもしれないし

〇七つの子❘転落していく様を指さして笑うからな

〇ぴょん吉❘俺らからすれば実況動画みたいなもんだし

〇猫ですよ❘あんちゃんの人生、楽しませてもらうね

「そんな人の一生をスナック感覚で消費するなよ!?」

〇猫ですよ❘神からすればそういうもんだよ

「人の心ぉ!!」

〇わんわん❘神に人の心なんてねえよ

〇わんわん❘まあ転生の不具合に対する詫びだ

〇わんわん❘規定範囲内なら情報を教えてやる


  転生後の人生がゲーム実況動画感覚で見られているとか…何これ…


〇猫ですよ❘という訳で、リアルタイム配信中なんだよ

「え?何が?」

〇猫ですよ❘あんちゃんの転生ライフ

〇わんわん❘ただの異世界転生じゃなくて

〇わんわん❘Re:ドラアクⅦ実況動画の中にいるような

〇ぴょん吉❘ゲームクリアするか、それとも

〇七つの子❘人生がゲームオーバーするまで

〇お揚げ君❘俺ら弱小神様が見ているからな

「プライバシーの侵害では!?」

〇わんわん❘いや24時間まるっと見ねえから

〇猫ですよ❘プライベートな時は配信切ればいいよ


  あ、そういう機能あるんだ…いやでも俺の一生を娯楽として閲覧されるのか……何か嫌だな…


「さっきから気になってたんだけど。文字の神様たち…どれも聞いたことのない名前なんだけど」

〇猫ですよ❘分かってたけど実際に言われると辛い

〇七つの子❘八百万の弱小勢に刺さるぅ

〇わんわん❘いうて俺らマイナー神だしな

〇お揚げ君❘大手に比べて知名度数、低いし

〇ぴょん吉❘やってることも今じゃ下請け…

「…? 大変、そう…なのか?」

〇猫ですよ❘神っても、信仰する人間がいないと死ぬ

〇わんわん❘此処に居るのは忘れられかけマイナー神

〇ぴょん吉❘時代の流れと人口減少で大打撃だしなー

〇お揚げ君❘神なんてな、そういうもんだぞ

〇七つの子❘忘れられたら死ぬんだよ、神様も

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