表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
国家仲買人   作者: 津辻真咲
4/6

カジノ王

《今朝未明、カジノ王の娘である、イザベラ=ロペスさんが屋敷に入った強盗に殺害されました》

 テレビからは、そのニュースが流れていた。

「物騒だな?」

 マスターのリアムがルイに話しかける。

「そうかな?」

「というと?」

 リアムは聞き返す。

「俺たちはもっと物騒なことして来ただろう? じゃ」

ルイはそう言うと、バーから出ていった。

「もっと物騒なことかぁ」

――俺も昔はお前と同じ信念だったよ。

リアムは苦笑した。



――今回の依頼主はカジノ王か。

――なるほどね。そういうこと。

「ご利用ありがとうございます。国家仲買人のルイ=スミスと申します。今回のご利用内容は何でしょうか?」

ルイは老人の隣に座った。

「あなたがあのカジノ王ですね?」

「はい」

 老人は彼の問いに答える。

「依頼とは?」

「私の娘を殺した強盗たちが逃げ込んだ国家を買い取りたいのです」

 老人、エドワード=ロペスは表情を険しくする。

「なるほど。あの国はあなたの国とは犯罪人受け渡し条約を結んではいませんものね」

「はい」

「では、ご利用金額は買い取り国家の歳入の50%ということでお願いします」

「分かりました」

「では、失礼」

ルイは椅子から立ち、去って行った。



「動くな」

「な! お前らは!」

 エドワードは驚く。

「インターポールの者です」

アリソンはバッジを見せた。

「くそっ!」

エドワードは悔しがる。

「娘のかたきがうてると思ったのに!」

「署まで、ご同行いただきます」

アリソンはぴしゃりと言う。


――ひぇぇ。インターポールが張っていたとは。

――ま。報酬は逃さないよ。王がだめなら、No.2からだ。

ルイは立ち去った。



警察署

「動機は何だ?」

 アリソンが取り調べをしていた。

「お前らに話すものか」

 エドワードは動機を黙秘する。

「まさかとは思うが、娘さんのことですか?」

「くっ!」

 彼の表情が一変する。

「やはり、そうか」

「そうだったら、何だというんだ!」

エドワードは敵意を向ける。

「暗殺をしようとしていたわけではないんですね」

「!」

 アリソンの表情が少し、柔らかくなる。

「プロセスはどうあれ、法で裁いてほしかったのですね」

「くそっ!」

エドワードは涙を流した。

「本部長。取り調べ代わります」

 刑事、ルーベン=クラークがやって来た。

「あぁ。よろしく頼む」

「はい」

――あとはあの青手配をどうするかだ!

アリソンは意気込んだ。



「ご利用ありがとうございます。あなたはカジノ王の執事の方ですね?」

「はい」

 執事は二つ返事で答える。

「ご利用内容は、カジノ王と同じですね?」

 ルイは確認する。

「はい。ご主人から、話は聞いています。自分にもしものことがあったら、代わりに国家仲買人と会ってくれと」

「なら、話が早い。依頼された国家の買収は完了いたしました。あとは報酬を」

「分かりました。指定された株を買い占めます」

「では、失礼」

ルイは立ち去る。執事は彼の後ろ姿を見ていた。すると。

「動くな」

アリソンは背後から銃を突きつける。

「な!」

執事は振り返ろうとする。が。

「動くな。あなたを逮捕します」

アリソンは執事に手錠をかけた。


――くそっ! あの刑事、しつこいな。

――仕方ない。第3のケースだ!

ルイは立ち去ろうとする。しかし。

「動くな!」

背後から別の刑事が銃を突きつけた。ルーベンだ。

「署まで、ご同行願えますか?」

「おいおい。俺は青手配だぜ?」

「責任は私が負う。これでどうだ?」

 アリソンがやって来た。

「ほう。お前がねぇ」

「不服か?」

 アリソンは表情を険しくする。

「いいや。十分だ」

 ルイは口角を上げた。

「連行しろ」

「はい」



取り調べ室

「まずは、動機を聞かせてもらおうか」

 アリソンは動機を尋ねる。

「動機?」

 ルイは聞き返す。

「あぁ」

「世界のためだよ」

 ルイはそう答える。

「ふざけるな。ちゃんと答えろ。どうせ、金目当てだろう」

 アリソンは声を荒げる。が、ルイは冷静だ。

「冷たいね」

「お前は、犯罪者だからな。人を不幸する奴にはそうなるさ」

「ちぇえ。俺に勝ち目はないってか」

「もちろんだ」

「本部長!」

刑事、ルーベンが中に入って来る。

「どうした?」

 アリソンが聞く。

「刑事部長がお呼びです」

「分かった。あとは頼む」

アリソンは出て行った。



「刑事部長、お呼びでしょうか?」

 アリソンは刑事部長のいる部屋へ入る。

「あの国家仲買人を釈放しろ」

 刑事部長、アレキサンダーはそう指示する。

「刑事部長!? どうしてですか!?」

 アリソンは驚く。

「これも世界政府からの命令だ」

「分かりました」

アリソンは俯き、立ち去って行った。


――一体どうして。

アリソンはそう考えながら、廊下を歩いていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ