未熟な展望
まだ続きます!
突然謎の男に連れられた由衣の初めての仕事とは?
ふしみ園の影とは?
謎だらけの第一話
続きをお楽しみください!
「・・・どういうこと?」
何もわからないまま連れていかれ散々不快なことをされて戻ってきた。
詩奈たちと会ってしばらくは、まだ不安だらけだったが、話を聞いていく中でだんだんと落ち着かざる負えなくなってくる。
私が何をされて、あの男が何なのかを知りたかったし・・・知りたくなかった。
「由衣はもう、初めての仕事を終えてきたみたいだし、さくらももうすぐ行くことになるから教えるね。ふしみ園にはとあるもう一つの顔があるの。・・・それは、児童売春、分かりやすく言えば私たちみたいな女の子を使ってお客さんと性交をさせるの。」
私はその時知ってしまった。
私が何をどんな目的でされていたかを、私には抗うことができない絶望があることを。
性交という言葉を今、初めて知った私にはその真実を受け入れることができなかったのに、そんなことを許してくれるほど現実は甘くなかった。
詩奈の話によれば、ここでは2年前からずっと児童売春に手を出していた。
対象は主にそういうことが好きな市のお偉いさんだったり、金を持ったロリコンの男たちに行っているらしい。
詩奈は最初期からずっとそういう扱いを受けていたことも、その時初めて知った。
「もちろん、こんなこと長くは続かないと思ってる。きっと近いうちに誰かが警察に訴えて助けてくれると思う。だから、諦めないで欲しい」
詩奈は私に希望を持たせてくれる。
「だけど、もう一つ大事なことを話しておくね」
詩奈は私に絶望も教えてくれる。
「ここでは人気によって子供たちに順位がつけられるの。平たく言えば、たくさんの注文を受ける子は上位に逆に、人気のない子は下位に、それぞれ割り振られる。そして人気の落ち切った子は引き取りという形で消えてしまうの・・・」
消えるという単語、これは詩奈なりのやさしさだった。
数秒の間を置いて続きを話す。
「え?」
「消えた子はどうなったか私は知らない。でもきっと、大変なことになってると思うの。だから、由衣たちは上位を目指して・・・あたしはこれ以上大切な友達が減るのが嫌なの。お願い・・・」
そのことについて語る詩奈の瞳は真摯で、壮絶な人生を送ってきたことが分かる。
その話が真実なら私の知っている限りでも、詩奈の友達は十人以上消えていることになっている。
私も今まで何人かが施設から去っていったのは知っている。
ずっと、引き取られていたんだと思ってた。
でも、全部納得がいく。
今の施設には女の子の割合があまりにも多いこと。
そして、いなくなっていった子たちがみんな泣いていたこと。
「詩奈、さくら、私どうなるの?これからどうすればいいの?」
さくらは詩奈の話を聞いてから、ずっと黙っている。
さくらはまだ仕事を経験していない。あの地獄をまだ知らないから想像することが難しいのだろう。
私は、耐えられるのだろうか?
「由衣、さくら、2人には私は消えないでほしいって思ってる。・・・きっと、誰かが助けてくれる。その時までわたしたち3人は生き残ろう。」
これが詩奈の言いたいことの全部だろう。
覚悟を決めないといけないのはわかってる。
理性では詩奈の言うことが正しくて、私たちにはそもそもの選択権がないことも。
でも、昨晩の事を思い出すだけで体がこわばってしまう。
あの夜をあと何回経験すれば詩奈の言う「助け」が来るのだろう?
その考えがすでに腹を据えたはずの私の心に重くのしかかっている。
「すぐに結論は出せないと思う。結論が出るまで考えて、どこか分からない場所に連れていかれるか、ここに残って助けを待つか、2人の答えは結論が出たときに聞かせて。」
口ぶりは完全に、残る以外の選択肢を与えない口ぶりだ。
「由衣ちゃん、今晩私と話をしてほしいの。由衣ちゃんに聞きたいことがあるから」
話が始まってから初めてさくらが口を開いた