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雪どけ

季節は春めいてきた。


そろそろ、この家を出る事を考えなければならない。


「シャルルは王都に行かないのか?」


「何で王都に行くの?」


不思議そうな表情だ。


「祖母殿は王都にいるのだろう?」


「王都じゃないけど?

なんでそう思ったの?」


「この家は魔道具であふれていてかなりお金がかかっている。

王都のお金持ちの別荘なのかと思ったんだ。」


「そう。

まあ、祖母がお金持ちなのは正解かもね。

僕は良く知らないけど。」


どうでも良さそうに去っていく。


この家の謎は深まるばかりだ。




そろそろ雪溶けだ。

いつまでもここにいる訳にはいかない。


祖母殿に会ってお礼をしたいのだが、いつ戻るのかは全く分からない。


出発の時に戻っていなければ、シャルルは一人になってしまう。


こんな誰も居ない家に一人残して旅立っても良いのだろうか?


出来るならば、一緒に連れて行きたい。


少しの間だが一緒に暮らし、本当の弟のように思えてきた。


一緒に旅に行こうと誘ってみようか。





荷物を整理する。

シャルルにお礼として渡すものを考える。


キングベアの肝はどうだろうか。


かなり強い獣で、その肝は高価な薬となる。


祖母殿が薬師のようなものならば持っているかも知れないが、傷みにくい薬なので邪魔にはならないだろう。


持ってる薬や、素材を確かめながら整理していく。


衣類も確認する。

ほつれているものは繕っておかなければと、横に避ける。


干し肉等の携帯食を並べ、足りない物を確かめていった。


「シャルル、肉に余裕があれば分けてくれないか?」


通りかかった彼に声をかける。


「良いけど、どうするの?」


「燻製を作って携帯食にするんだ。

もうすぐ雪溶けだからね。」


「あ、出ていくのか。

そうだね、足りない物があれば教えて。

元気になって良かった、うん、良かった。」


「シャルル、俺と一緒に旅に出ないか?」


「は?

行くわけない。


これ、繕い物?

やってあげるから。」


「シャルル、君の事が心配なんだ。

一人置いて行きたくない。」


「余計なお世話。」


怒らせてしまったようだ。


でも、とても心配なんだ。


祖母殿、早く帰って来てくれ。





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