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7. 危機 (挿絵ラフ)
流血など苦手な方はごめんなさい
ガサリッ
「……っっ!!」
音がした方を振り向く。
といやらしく口をにちぁあああっとひろげた狼がいた。
灰色で目が赤く爛々としている。今にも飛びつこうとせんばかりの体勢。尻尾は太く足もバケモノのようだ。
少女は恐怖という感情を思い出す。
怖い。
ギラギラと尖っている歯。容易く肌を切りさけそうな爪。
何より獰猛に光る獲物を見る目。
汗がポトリと落ちる。
それが開始の合図だっただろうか。
狼は飛びかかってくる。
私にでは無く子馬に…。
気づくのが遅かった。
恐怖で立ちすくんでしまった。
心臓がバクバク爆音を立てている…
痛い…。痛いっっ!!!
「……やめろっ」
心臓の痛みが私を強制的動かした。
「くぅうっうっ…!!」
間一髪子馬の前に到達した。
が狼を止めるすべを私は持っていない。
何も口にしてないせいか体は悲鳴をあげている。
でも子馬の方が大事だと私の体は動く。
もう二度と失ってたまるものか…!
何処から来たのか分からない感情。
子馬の身代わりになる為に体を必死に動かした…
…………
周囲が赤くそまる…