55. 太陽神
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アシサク街のジル宅へ帰るとクカルにとても驚かれた。そのあとたんまり美味しいご飯を食べた。
「んぅううっ…美味しい」
「ふふふ。良かったわ」
「今日働きに行ったんだけど、依頼失敗しちゃった。…約束してたのにごめんなさい」
「いいのよ?私はここに居てくれるだけで得しちゃった気分だわ」
「あァ。好きなだけ居てくれてもかまわねぇぜ」
「ありがとう…明日またギルドに行ってくるね」
「またいくの?…ズボンもボロボロだし、流石に次の依頼はむちゃよ」
「んー。依頼は受けないから大丈夫かな。ズボンはね、足ごとスパンっていったから…へへ」
「「なっ!?」」
二人揃ってあんぐりとした表情を作る。
流石夫婦だ。似ている。
「…それでね?私弱いんだなーって。…だから明日から、ビルに色々鍛えてもらいたいんだけど。駄目かな?」
「……ズボンが綺麗に切られているって事はそういう事だよな…?」
「……へへ」
「へへじゃないわよ!もう!…家でずっと暮らしてくれても良いのよ?危ないことはしなくていいわ。仕事も条件のいいものを用意する…」
「…クカお姉さん。ありがとう。でも、まだまだ知らないことばかりだから、白金と色々なところに行くのは楽しいんだ」
「…俺ァの特訓は優しくねぇぜ?」
「うん。…ビルの想像している10倍は優しくしなくて結構だよ。…本気だから。」
そう…。このまま龍爺の残したものばかりにすがっていては意味が無い。またあんなのと戦うことになっちゃったら…負ける。
「お願いします」
「あァ…じゃあ明後日からだなァ。まずは服を新調してこい。いい店がある。」
「…ありがとうビル。…?こういう時ってなんて呼べばいいの?」
「んあァ?…先生とか、師匠とかァあんじゃねぇの?ビルで別に構わねぇ」
「ううん。…先生!これで行くね!じゃあもう早めに寝るね!ごちそうさま!あとおやすみなさい!」
「ええ。おやすみ」
「…あァ」
_______________
「んぅーーーー…………はぁぁ」
のそのそと起き始める。前にクカルに買って貰ったあの、白いワンピースに袖を通す。今日は、別に乱暴な事をする予定は無いのでラフな格好になった。
ズボンがボロボロという事もあるが…
…不思議だなあ。狼に噛まれそうになった時は凄く丈夫で何とも無かったのに。剣で斬られただけで裂けるなんて…。
白金とギルドに辿り着くまでに、何度か呼び止められて屋台の物を沢山差し入れして貰っていた。…白金には人参。黒金には甘い菓子パンなど…
「…?ここら辺にこんな屋台あったかなぁ?」
無い。
そうこうしている内にギルドに着く。
朝早くから来たのであまり人は多くない。
いつものように白金には外で待機して貰っておく。
「…すみません。依頼失敗しました。」
「…えーと。Gランクの黒金様ですね。…依頼達成しておりますが…?」
黒金は前回来た時に、アルバからランクの説明を受けていたことを思い出す。上からS,A,B,C,D,E,F,Gとなっており、Gランクは素材集め系と討伐系を達成出来れば確かFランクに上がれたはずだ。…そしてビル達がAランクでこの街一番の冒険者である事も。ちなみにSランクは、ふらふらと世界を旅しているのだとか。
「…え?じゃあ私Fランクになれるの?」
「…はい。実は先日アルバさんが、黒金様が手違いで達成した証を持って来れなくなり、自分が変わりに持ってきたと。そう言っておりましたので、黒金様はFランクになれますね!では、こちらが報酬になります。銀貨10枚です。」
最初に街に来た時に教えて貰っていた事だが。この国の硬貨は、大金貨,金貨,銀貨,銅貨である。
大金貨3枚ほどでそこそこの家が建つが、あまり流通していない。基本取引に使われるのは金貨である。
しかし、銀貨5枚ほどで一ヶ月は暮らせる。銅貨は、五枚程で一食は食べることが出来る。そこまで詳しく覚えていないが、何となく分かるだろう。
「…ありがとうございます。」
「では、黒金様のランク上げをしますね。手をお出し下さい。…ふむふむ。これでよしっと。では、次も頼みますね!きたいしてますよ?」
「ねぇ。黒金ちゃん?あっちで話をしても良いかしら。…お兄ちゃんも居るけど大丈夫?」
「うん。でもちょっと待っててね白金に伝えて来るから。」
「分かったわ。あそこのテーブルに先にいるわね。…朝ごはんはもう食べたの?」
「…うん。なんか沢山貰ったから」
「…たいへんね」
とそこで別れる
「白金!ちょっと話したい事があるからちょっと時間かかるかも」
「ブルル(寂しい)」
「…早めに帰ってくるから。このバナナでも食べてて」
「もっちゃもっゃもちゃ…ごくん(嬉)」
早かった…
「おまたせ。まった?」
「いいえ?私とお兄ちゃんは朝ごはん頼んだの。黒金ちゃんにもカフェオレを頼んだのだけど。飲めたかしら?」
「…飲んだ事がないから。でもありがとう」
「珍しいわね」
「…黒金。先日は誠に申し訳ございませんでした。」
ガバッと見事な土下座を披露する。
これ…は。
いわゆるスライディングどげ…げふんげふん
「顔を上げてよ。怒ってるけど、そこまでじゃないからね。」
「…優しいのですね」
「訂正するね。腸煮えくりかえるほどムカついたよ。一周まわって落ち着いただけかな」
「…」
無言でアルバは土下座をさっきよりも深くゴンっっっっと頭がなるほど…打ち付けた
「…あのアルバさんが…ひいいぃ」
「あ、あの嬢ちゃん何者なんだ」
この時その場にいた冒険者達の心はひとつになった
「「「この嬢ちゃんには絶対に絡んじゃいけねぇ…」」」
前回来た時に絡まれなかったのは、裏でアルバが手を回していたからである。そのため、今日ヒラヒラの服を着て武器すら持っていなかったので後で難癖つけようと思っていた冒険者達はこの光景に震え上がったのだ。
…この後黒金の二つ名がうわさされる
…太陽を跪かせた者
…太陽神
…と
アルバは外国語で日の出という意味があります。
次の話…謝罪の中身…?
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