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52. 敵

戦闘シーンです


 「あっ…」


 「…すみませんでした。…?頭がヒリヒリします」


 きっと、アルマが最初に叩いたからだと思う。切実に。そう思う。



 ガシャンッ




 「はははは。なんだ…。お前吸血鬼に首輪つけられてんじゃねぇか。…森のあいつを倒したのが誰かと思って来てみたが、こんな小娘だったとはなぁ?…わざわざ現場まで行って確かめたのも無駄足か?」


 「…次から次へと誰なの?面倒臭いんだけどな」


 「…俺様のことか?ふははは。まぁ魔王の下僕だなあ。…非常に不本意だが。しっかしまあ、随分と弱そうだなあ。」


 「…弱そうでいいから帰ってくれる?その今たってる窓からつき落としてあげようか」



 なんだこの男は。背中からコウモリのような翼が生えている。見ただけでも何故か空気が重くなる。またあの竜と同じか。


 白金の元に早く行かないと行けないのに。こんなのの相手をする時間はない。


 「はは。…ククククク。お前が気にしてる馬は今どうなってんだろうなあ?俺様がここに居ることを察した方が頭がいいぜえ?俺様は戦いに来たんだからよ」


 「…さっきから聞いていましたが、相当に理不尽な事を仰られますね」


 アルバもだよ。と言う言葉はグッと喉に押し込む。


 「…アルバもだよ!!!」


 押し込めなかったようだ。


 …しまった。言ってしまった。


 「…お前の事はどうでもいい。………失せろ」


 一瞬の内にその姿を見失う。悪魔…だろうか。みえない…見えなかった。


 何枚もコンクリートの壁を壊しながら、アルバは随分と遠くまで吹っ飛ぶ。


 「なんだよ。やっぱ弱ぇじゃねぇーの。そこの嬢ちゃんはどうすんだ。怖いならどっか行けよ。なあ?…殺すぞ。見せもんじゃねえんだ」


 「…っ!!」


 アルマは、気がついたかのように顔を真っ青にしながらアルバの元へかけていく。


 …まずいな。こんなのとやり合ったら流石にまずい。

 何とかして分かってはくれないだろうか。


 「…あの」


 「そういうのは良いんだわ。魔王の目を盗んで来てるもんでね。時間がねぇんだわ。…そっちが来ねえなら…」


 シュンっ


 「…こっちからいくぜぇ?」


 …かなり遠くまで居たはずだが、一瞬の内に近づいてきたんだ。…またきえ…?


 「…本当にお前か?大分弱ってたんだなあいつも。……流石にお前じゃ弱すぎる」


 …何を言っているんだ。この男は。


 「…おいおい。気づいてねぇのかよ。はははは。傑作だな。」


 といい歩いてくる。


 …避けなくては。


 …?


 …足が動かない。


 …あれ?足がない。


 ドサッ


 「うああああああああああああ」


 「…興ざめだわ。やっぱし本当に馬んとこ行くかあ?あいつはなかなか面白そうだったからなあ。こいつがこんなに弱ぇのなら、しゃーねーか」


 …痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い



 …でも、白金の所へは行かせない。絶対に。



 …もう、二度と死なせない



 「…おっ?いい面してんじゃねえか。いいぜぇ?…だが、その足で何をやるってんだあ?」


 「…ヒール。」


 みるみるうちに、黒金の足が元の姿を取り戻す。


 「…行かせない。ここで終わらせるっ!」


 「ゴハアッッッ…」


 黒金は、一気に間を詰めて腕をうねらせ跳躍しながら金棒を振り落とす。


 「…ペッ。はははは。…良いねぇ。」


 黒金の様子はさっきまでとはうって変わっていた。


 …見える。もうあいつの好きにはさせない。


 先程まで見えなかった振るわれる剣も良く見える。


 ガツンガギンッ


 と金属の鈍い音が何重にも重なって聞こえる。


 「…光よ…行け」


 黒金がそうつぶやくと、黒金の手から物凄い量の光が放たれる。…小細工などしない。光の塊をそのまま打ち付ける。


 「グフッ…フフフフフ。そんなものでは俺様は倒せねぇぜ?…だが、気に入った。俺様は、悪魔のジズだ。…そろそろ俺様も時間がねえ。…じゃあな」


 「…まてっ」


 …消えた。気配までも一瞬の内に。


 月は絶対に負けない


 「アルバ達の所へ行かなきゃ…。白金のことまだ聞いてない」


 「ひっ…!…ど…どうしたの。その顔。」


 「…顔?どうかした?」


 「…角が大きくなっているわよ!それと…目から血が出てる。…黒金ちゃん…。目が…。」


 「…なに?はっきりといって」


 「…目が…紅く染まってるの」


 …そんな事か。どうでもいい。それより白金の場所を早く聞かないと。…自力で探せるかな。


 「…黒金ちゃん!お兄ちゃんを治して!…死にそうなの」


 「…分かった。…白金はどこ?」


 「…ここから東の方に隠蔽のかかった家があるわ。そこの部屋にいる。だから…お願い!」


 …東…東…東


 「…ごめん。東ってどっち?」


 「…なっ、…あっちよ」


 「ありがとう。…治れ」


 そう呟くと、また黒金から柔らかい光が溢れてアルバを包む。アルバの傷がどんどんと塞がっていく。


 「…じゃあ。行くね。」


 「…待って。…今度お礼させて。…明日ギルドでまってるわ」


 黒金は返事もせずに割られた窓からするりと闇の中へ姿を消した。



次の話…白金に会う…?


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