50. 昔話 前編
口調が唐突に変わりますが、
あまり気にせずお読みくださいませ
ポカポカと可愛らしい攻撃をしていた少女…アルマはおいおいと泣き始めて黒金に抱き着いていた。
…この兄弟は人に抱きつくのが趣味なのだろうか
「…はぁ。こっちが泣きたいよ。…白金がどこにいるかも聞いてないし」
アルマの綺麗な銀の髪をサラリと撫でて優しくひきはがす。
「…ぐすっ。私たちは血が繋がってないの…ひっく。でもずっとずっと一緒にいたの。でも…お兄ちゃんは優しいから。私が痛がることは絶対にしないんだ。…本当は妹のままでいいの…お兄ちゃんのままがいいの…ぐすっ。」
「…うん。それで…?」
「それでね。すんっ。お兄ちゃんが我慢して我慢して我慢して…苦しむすがたはもうみたくないの。」
「……ごめん。意味が分からないよ」
泣いていたアルマは、キッと黒金をにらむ
雰囲気がぶち壊しである。
「…馬鹿なの?ここまで語ってあげたのに…ぐすん。…だから!…私がいつまでも妹のままでお兄ちゃんにとって守る対象だから。…自分が苦しんででも、匂いを嗅ぐ。それ以上の事は…」
「……絶対にしないの。」
「…?じゃあ。私はどうでもいい存在だからそれ以上の事をされたの?」
「…ぐすっ。………はぁ。そんな訳が無いじゃないの。」
アルマは語る。
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吸血鬼とは…。
昔々…うんと昔の事。
二人の仲の良い恋人が一つの家に住んでいました。
毎朝男は狩りへ行き、ぴったり夕方に家へ戻ります
毎朝女は家事を行い、男の無事を祈ります
その日は、強く吹雪いていましたが、男は元気に出かけてゆきました。
しかし、待てども待てども男は帰ってきません。
帰りが遅くなった事は、今までに一度もありませんでした。…この日までは。
食事は冷め、ろうそくは役目を終え、辺りは真っ暗になりました。女は男の無事を信じて新しいろうそくに火を灯します。
待てども待てども帰っては来ません。ろうそくを何日分も使ったことでしょうか…。
朝が来ます。昨日の吹雪が嘘のように晴れていました。女は、それでも待ち続けます。
そうやって、男の帰りを待ち続けて一年が過ぎました。村の人は誰一人と生きているとは思ってはいません。それでも、女は待ち続けて遂にとうとう体調を崩し、床に伏せってしまいました。
流行病だったようです。村を襲い…村を超えて国を襲った流行病でした。女も例外もなくかかり、いつ死んでもおかしくはありません。
ですが、それでも暖かい食事を二人分を用意し、夜遅くまでろうそくを灯します。
…ガタリと扉が開く音がする。その音がしたのは日が暮れてから随分と経ったときでした。村の人も病に伏せているので、心当たりは…1人を除いてありませんでした。
熱と咳で動かない体を引きずって玄関へ向かいました。
…そこには
次の話…その後…?
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毛を抜かれたアルバはしばらく帽子が手放せかったとかそうじゃなかったとか…?