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44. 市場巡り


 黒金とクカルと白金は市場へとやって来た。



 門の前に大きい商店街があるが、また別の場所である。あそこは人が多く、観光客向けにあると言った屋台が立ち並んでいる。そのため酷く混むので、白金が居るならと、地元の人がよく利用する市場へとやって来たのだ。


 市場とは言っても、商店街と負けないぐらい屋台がある。商店街はサイズの小さいものが沢山あるが、市場での屋台はまた違う。全てサイズが大きくガッツリとした物ばかりである。食べ歩きをしながら市場を回って貰い、お店の利益をあげようと市場一帯の取り組みのようであった。


 市場と言うだけにあって、野菜から魚…何でもござれと言った感じである。並んでいるどの品物も新鮮で、ついつい買ってしまうそうな。


 「ふふふ。今度はあれを食べましょ?」


 とクカルが指を指したのは………


 ゲテモノと言ってもバチは当たらないような物だった。


 「…ねぇねぇ。クカお姉さん。あれって食べ物なの?」


 と、疑うのも無理はない。


 屋台には、何故が黒い……この世の黒を注ぎ込んだような黒い物体がぶら下がっていた。…妙にてかてかとしており、吊り下げられた物体がたまにピクピクとしている。………想像をしてみて欲しい。美味しい物が沢山並んでいる中で、そんな物体を誰が買おうとするのだ。



 …しかし。見た目とは裏腹に、案外人が並んでいた。



 「そうよ?とっても美味しいの!」


 食べる前から戻しそうである。


 だが、あの舌の肥えたクカルが言うのだ。味は間違いは無いだろう。


 順番が回ってきた。


 「二つお願い出来るかしら?はい。これお金ね」


 屋台にいたおっちゃん。まいどっと小さく呟くと、その黒い物体をナイフで削ぎ落とした。…何故かキュッと変な音がした…。削ぎ落とされた物体は、ぷるんとカップの中に落ちる。表面張力が高いのだろうか、少し傾いただけでカップの中でぷるんぷるんぷるんと暴れ回る。


 生きているようにも見える。


 おっちゃんは何か白い粉をぷるんぷるんした黒い物体にかける。


 「おまちっ」


 と小さい声でフォークと渡される。


 「ふふふ?先に食べてみて…?」


 と、悪い笑みを浮かべるクカルを白い目で見る。





 勇気を振り絞って…黒金がいったあああー!



 フォークが、刺さらないいい!!!



 ぷるんグサッぷるんぷるんグサッぷるん



 「…」


 イラッとした黒金は、もう一思いに一気に口に放り込んだー!!!



 「あっ…黒金ちゃん…」



 ……黒い物体が口の中で弾ける。噛み切ると、そこから肉汁が溢れるようにジュワァと程よい甘みが口に広がる。おっちゃんが振っていたのは塩だろうか、そのしょっぱさが、ぷるんとした甘味をより際立たせてくる…。黒蜜にでも漬け込んであるのだろうか…黒蜜の優しい甘さが後からやってくる。気持ち悪いと思ったぷるんぷるんな見た目も、口の中に入れてしまえば、どこか食べた事が有るような…忘れてしまったような何処か懐かしい味がする。




 口いっぱいに頬張り、もきゅもきゅと食べる黒金は幸せそうな顔をしてごきゅんと飲み込んだ。



 「…クカお姉さん!これ美味しいね!」


 「…え、えぇ。そうね」


 それは予想していなかった!と言った驚いた表情でこちらを見ている。


 「これって一体なんなの?妙にぷるんぷるんとしているし」










 「…これはね。スライムの黒蜜漬けよ。生きたスライムを黒蜜の中で窒息させて、仮死状態になったらその肉を剥いで食べるの…まさか一思いに行くとは思わなかったわ…ふふ」



 え?嘘でしょ?


 表情を一瞬で強ばらせた黒金は、さっき感じた美味しさが何故か全く違う物に感じで来てしまったのだ



 …ナイフを入れた時にキュッと鳴ったのは、断末魔では無いだろうか。


 …肉汁が溢れるように。本当に溢れていたのでは無いだろうか。


 …フォークが刺さらなかったのは、最後の抵抗として逃げていたのでは無いだろうか。


 …何故、ピクピクしていたか。仮死状態だったからでは無いだろうか。



 次々と思い当たる事が出てきてしまって、もうこの世の終わりと言った顔になる。…奇しくも黒金はスライムの踊り食いを経験したのだ。





 「…ふふふ。これやっぱり美味しいわよね。あんまり、出回らないから今日食べれてラッキーだったわ」



 …。




 黒金達は、お腹を満たしたあと市場を回る。



 「…白金!どこ行くの!」


引き手を持っていた黒金は急に引っ張られる。



 そこには、人参からりんご。葡萄やみかんにバナナ。…馬の為に揃えたのでは無いかと言うような品揃えである。


 白金は、屋台の前に行くと。こちらをキラキラととした目で見て、前かきをし始める。



 カリカリカリカリ



 これ食べたい!買って!と言わんばかりの表情である。実にお利口さんだ。



 今までにない、眩しい目を見た黒金はノックアウトされた。




 勿論。白金がこれもこれもと言う物を全て、渡されていた小遣いで買った。




 後ろから買いすぎだとクカルに怒られていたのも付け足そう。



 こうしてクカルとの市場巡りは終わりを遂げた。





次の話…服…?


ブクマと高評価お願いします



ふふふ。わらび餅だと思いました?


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