41. 報告
「はあああぁぁあ??何でそうなったんだ!!!」
「…だからァ。さっきも言っただろうがァ。魔法だ魔法。分かるかァ?ま・ほ・う」
「…馬鹿にすんじゃねぇ。ビル。てめぇっ!」
「…落ち着いて下さい。ギルドマスター。それ以上怒りますと、毛が…無くなりますよ。」
「…るせぇ……わぁってんだよ……」
頭を撫でながら急に弱気になる。
ビルが説明したのは、先日起こった出来事だ。約束通り律儀にギルドに報告に来た。
「…ビルの話が本当だとしますと。もう、危険は無さそうですね。…ですが驚きました。まさかあの森が実は全くの別物だったなんて。」
全く驚いていなさそうに青年は呟く。
「…副ギルド長も何やってるんだァ…」
「?お仕事ですよ。」
副ギルド長と呼ばれたこの青年。アルバは、ギルド長を何故か先のとがったペーパーナイフでつついていた。
「…全く困ったものですよ。結局、魔物は別の人が倒してしまった事ですし。素材も何も残らないアンデッドですし。この無能なギルド長は何を勘違いしたか、この街の恩人に剣を掲げて攻撃する様な事ですし。」
ツンツンツンツン
「…それは未遂だ。」
「挙句の果てには?あのマッチョ君の忠告もろくに聞かずに、冒険者達を振り回す事ですし?…一体ギルド長は何をしたかったんでしょうかね…?おやおや、ここにご本人様がいらっしゃるではないですか。聞いてみましょうか?ねぇ?ギルド長…?」
「…すまなかった」
ツンツンツンツン…
「…すまなかった。それがギルド長のお言葉ですか?沢山働いてくださった冒険者達の報酬と?口止め料…。どれだけしましたかねぇ…。ギルド長がためていた書類を私が?全て片付けている間に?」
「…それぐらいにしてやってくれァ。副ギルド長。俺ァも報告が済んだら、とっとと帰りてぇんだがァ…」
「あ、そうでしたね。奥様。ご懐妊おめでとうございます。もう帰って頂いても結構ですよ。報告ありがとうございます。」
「んなっ何でそれを知っているんだァ?俺ァ誰にも言ってねぇぞ?」
「ふふふ。そこはヒミツですよ。ビルさん。大丈夫です。貴方達に害を与える行為は私はしないと誓えます。」
「…それ大分やべぇだろ」
「…ギルド長?口より先に手を動かして下さい。…さもなくばギルド長の個人的な恥ずかしい情報をこの街…この国に広めますよ?あぁ、一週間も有れば、子供からお爺さんまで知っている常識になりますけどね」
「…それはァ怖ぇなァ。ま、俺ァとっととお暇するぜ」
「…では。お気を付けて。」
「おう」
そうしてビルはギルドを後にした。
ビルにはやらないといけないことが沢山あるのである。
「…名前考えとかねぇとなァ。本屋に行って…あとは…色々と揃えるもんは嫁さんと一緒に見た方が良いだろうしなァ。あァ…ラックの見舞いでも何か買って行くか…。あいつにも報告しときたいしなァ…」
と、本屋への道のりを進むのであった。
次の話…買い物…?
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