Hello New Dimension
初シリーズです。のんびりやっていこうと思います。
僕の名前は鈴木優磨。高校生だ。
クラスにこれと言った友達はいないが、時たま同じ趣味の人と話すので孤独なわけでもない。平凡だがそこそこ幸せな人生を送っている。
まぁ、そんな日常は突然終わりを告げたのだが。
それでは僕が[あかい目]と出会った日の話をしよう。
それでは、ご静聴下さい。
季節は夏前、テスト明け。レッドなポイントを獲得してしまった僕は名状するのも恐ろしい冒涜的な課題に追われていた。
「あと5分!間に合うか!?」
課題提出期限が刻一刻と迫る。一回ぐらいは大丈夫だが、それでもまずい。カーブをせねなければ間に合わない。
(あと2歩で直角ターン!そして階段3段飛ばし!やれるか?いや、やらねばならぬ!)
「こっこだぁー!」
頭文字がCの次のBGMが流れる。
そして僕は華麗にインを攻めて—
ぶつかってしまった。
女子にぶつかってしまった。
「あっ、すいません!大丈夫ですか!?」
まず謝る。うん。謝ればなんとかなる。誠意を見せるんだ。
「大丈夫です...。」
驚いた。目が真っ赤であった。充血とかではなく外国の人の目とかの青とか金とかのような感じの赤であった。
って見入ってる場合じゃない!やばい!
「本当にごめんなさい!今僕急いでるんで!すいません!」
僕は走った。命なんぞはどうでもよい。留年がかかっている。それだけで僕は走った。
結局、日は沈んでしまったのだが。ちくしょう。
その日の帰り道。
何とかお慈悲を頂ける事が出来たのだが、散々怒られた。あの時ぶつかったせいだ。
そういえばあの人目が真っ赤だったなぁ。今思い出しても綺麗だった。人の目に見入るなんて初めてだ。
...まぁ目以外も綺麗な人だったけれど。
ん?あれはあの人では?
同じ電車に乗っていた。無表情で座っている。どこを見ているのかいまいちよく分からない。こんな偶然もあるんだなぁと感心した。
降りる駅まで一緒とは驚いたなぁはっはっは。
何で?今まであの人一度も見た事ないぞ!?
...尾行してみるか。
これは義務だ。怪しい人かも知れない。美人局とかかも知れない。卑しい気持ちは一切無いはずだと信じている。
抜き足、差し足。そろーり、そろーり。
つける事数分。曲がり角に消えてしまった。
角を恐る恐る覗くと...。
引きずりこまれた。彼女は僕に鋭い口調で言う。
「これ以上私に関わらないで。分かった?」
動けない。喉元に何か突きつけられてる。
「分かった?」
頷けない。肯定できない。見てしまった。
僕は震える声を出す。
「な、なんでそんなに、そんなに怖がっているんだ?」
路地裏で震える彼女。自分の肩を抱いて必死に耐えようとしていた。
「...あなたには関係ない。お願いだからこれ以上関わらないで。」
見捨てられない。僕の心が叫ぶ。
「ひ、1人で溜め込むなよ。相談ぐらいしてもいいんだぜ?」
「関わらないでって言ってるでしょ!」
すると彼女の目が輝く。それと同時に僕の真横にあった壁の一部が消えていた。手がすっぽり入るような穴が出来ていた。
僕は完全に腰が抜けた。現実にあるまじきものを見てしまった。
気がつくと、彼女は消えていた。
翌日。
僕は何度も彼女を見つけては関わりに行った。
幾度拒絶されようとも何度も行った。
そしてそれは1週間続いた。
7日目、ついに彼女を屋上に追い詰めた。
「教えてくれよ。きっと力になるからさ。」
幾度も言ったこのセリフ。
「ほんっ...とうにしつこい...。」
彼女は走ったせいで息切れしている。それでもなお彼女は拒絶を続ける。
「その目は何なんだ?」
「あんたには関係ない。」
「同じ学校だろうが。」
「どうせ信じない。」
「いいや、信じるね。ここまで必死に追いかけているのがその証拠だ。」
彼女は息を飲む。そして彼女は歯を噛み締め言葉を絞り出す。
「本当に?」
「本当だ。」
僕は即答する。
ついに彼女は観念したかのように空を見上げ、話し出す。
「私は、元はあんたと同じような人間だったんだ。ちゃんと紗江子っていう名前があってね。目は元から赤かったけど。まぁそれは置いといて。
ある日、私の通っていた学校ごと私とそこの学校のみんなはどこかに『飛ばされた』。
そこはこの世界とは似て非なるものだった。
言葉では表せないけれど、確実に何かかがズレていた所だった。
私たちは困惑した。
何かがおかしい。けれど言い表せない。
そんな感じでみんなもやもやしていた。
最初に居なくなったのは私の友達だった。
次に担任の先生。
その次に他の人たち。
どんどん居なくなっていった。
いつのまにか私1人になってしまった。
そして誰一人帰ってこないまま、いつのまにか私は帰って来ていた。そしたらこんな力が身についていた。
どう?満足できた?」
...驚かされるばかりだ。そんなものが世界にはあったのか。
「うん。信じるよ。...でも終わった事じゃないか。何であんなに怯えていたんだ?」
続きがあるはずだ。恐怖の理由があるはずだ。
「帰って来た後、いつも何かに見られている気がするんだ。」
...拍子抜けした。原因は明らかだ。
「きっとストレスのせいだ。しっかりと休んだら良くなる。」
「そうかな...うん、そうだね。しばらくゆっくり休むとするよ。」
そりゃあんな経験したらこんなにもなる。当たり前だ。しっかりと休んで貰わなくちゃ。うんうん。
思っていたより簡単に解決した。良かった良かっ—
「おや、おやおやおや。こんな所にいたのかい。探したよ。」
いきなり背後から声がした。急いで振り返ると、そこには緋い目の少女がいた。
赤ではなく、緋だ。
「全く、帰って来てもらっちゃ困るんだよ。色々と調整が大変なんだ。ま、取り敢えず消えてくれ。」
なっ、なんだ?消えてくれ?そもそも誰だ?なんだ?
「あ、あなたは誰ですか?」
彼女—紗江子が問う。
「んにゃ。君が知る必要はない。—██_ ̄██。抑えといて。」
緋目の少女がバッサリと切り捨てると何事か呟いた。
すると、紗江子がテレビの砂嵐みたいなやつらに捕まっていた。
「それじゃあ、さようならね。お嬢さん。」
少女が銃らしき物を構える。僕は慌てて声を出す。
「ま、待って下さい!彼女が何をしたって—」
ぱすっ
気の抜けた音がする。
振り向く。
紗江子が、物言わぬ骸となっていた。
脳をぶちまけていた。
緋の少女はこちらを振りむき、言う。
「悲しいけどね。誰かがやらなきゃいけないの。不安の芽は全て摘まなくちゃいけないんだ。」
そんなことで?
「そうなんだよ。」
僕は飛びかかる。紗江子が何をしたって言うんだ。
取り押さえられる。
「はははっ。今の君、まるであの頃の私にそっくりだ。そうだ。私についてこないかい?私を殺せるかもよ?」
ああ、お前を殺せるならお前にだって魂を売ってやる。いつか殺してやる。お前には罰を与えなくちゃいけない。
「そうだ、私の名を言い忘れていたね。私の名は、
[次元遠点法人]さ。以後よろしくね。」
こうして、僕の日常は消え去った。
お楽しみ頂けましたか?
楽しんで頂けたならばそれ以上の喜びはありません。
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ネタは私と同名のツイッターアカウントで発信しているものを使用しています。私が作者です。